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抗精神病薬・エビリファイは、統合失調症の陽性症状および陰性症状、双極性障害における躁症状、うつ病・うつ状態の治療に用いられます。

エビリファイは、従来の薬で問題になっていた錐体(すいたい)外路症状※が比較的少ない新しいタイプの薬であり、非定型抗精神病薬と呼ばれています。

※錐体外路症状:ふるえ、筋肉の緊張、異常な姿勢・動作、むずむず、睡眠不足、焦燥感などの副作用

 

今回は、エビリファイの副作用、働き、作用機序、効果、使用上の注意、薬価などについて説明します。

なお、ネットではエビリファイを服用して、痩せたという意見もあれば、反対に太ったというコメントも見受けられるので、本記事ではエビリファイによる体重増減の理由についても解説しておきます。

エビリファイの副作用

エビリファイには、以下のような副作用があります。

不眠、神経過敏、ふるえ、食欲不振、肝機能障害など

 

エビリファイの添付文書によると、上記の副作用の発現率について、以下のように記載されています。

<統合失調症>

主な副作用は、不眠(27.1%)、神経過敏(14.8%)、アカシジア(11.7%)、振 戦(手指振戦含む)(10.5%)、不 安(9.6%)、体重減少(9.2%)、筋強剛(6.3%)及び食欲不振(6.2%)であった。

 

<双極性障害>

主な副作用は、アカシジア(30.2%)、振戦(16.7%)、傾眠(12.5%)、寡動(10.9%)、流涎(10.4%)、不 眠(9.9%)、体重増加(9.4%)、悪 心(8.9%)、嘔吐(7.8%)及びジストニア(筋緊張異常)(5.2%)であった。

 

<うつ病・うつ状態>

主な副作用は、アカシジア(28.1%)、体重増加(10.1%)、振戦(9.4%)、傾眠(9.0%)、不眠(7.3%)、ALT(GPT)上昇(7.1%)、便秘(5.6%)であった。

出典:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066520.pdf#search=%27%E3%82%A8%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4+%E6%B7%BB%E4%BB%98%E6%96%87%E6%9B%B8%27

 

まず、統合失調症の治療にエビリファイを用いた場合、不眠の発現率が27.1%であり、非常に高いことが分かります。

また、他の副作用の発現率も高い数字となっています。

 

続いて、双極性障害の場合は、発現率30.2%のアカシジアが最も起こる可能性の高い副作用です。

アカシジアは、四肢にむずむずするような不快な症状が現れたり、そわそわしてじっとしていられない状態のことです。

なお、後で説明しますが、体重増加の発現率も9.4%と高い数字です。

 

最後に、うつ病・うつ状態の治療に用いた場合も、アカシジアの発現率がトップとなっています。

さらに、こちらでも体重増加の発現率は10.1%であり、見逃せないほど高い数字と言えます。

 

では、次にエビリファイの重大な副作用についてもチェックしておきましょう。

 

エビリファイの重大な副作用

エビリファイには、次のような重大な副作用が起こることがあります。

悪性症候群、アナフィラキシー様症状、横紋筋融解症、糖尿病性昏睡、糖尿病性ケトアシドーシス、遅発性ジスキネジア、麻痺性イレウス、けいれん、低血糖、肝機能障害、肺塞栓症、深部静脈血栓症、無顆粒球症、白血球減少

 

ここで、聞き慣れない症状や疾患がある場合は、以下の記事をチェックしてみてください。

次の記事では、これらの副作用についてより詳しく説明しています。

薬の副作用まとめ

 

続いて、上記の中でも特に注意が必要な副作用について解説します。

 

悪性症候群

エビリファイの服用のよって、悪性症候群を起こすことがあります。

無道緘黙(かんもく)、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗などが発現し、引き続いて発熱が見られたら、服用を中止し、体を冷やす、水分を補給するなどして、ただちに処方医へ連絡してください。

高熱が続き、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行して、死亡した例が報告されています。

 

糖尿病性昏睡、糖尿病性ケトアシドーシス

エビリファイの服用によって、著しい血糖値の上昇から糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡などの重い副作用が起こり、死に至る場合があります。

服用後は血糖値の測定とともに、口渇、多飲、多尿、頻尿などの血糖値の上昇が疑われる症状が現れたら、ただちに服用を中止して、医師の診察を受けてください。

 

血栓塞栓症

肺塞栓症、深部静脈血栓症などの血栓塞栓症が起こることがあります。

不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態などの危険因子を有する人は、十分に注意して服用してください。

息切れ、胸痛、四肢の疼痛、むくみなどが見られたら、すぐに処方医に連絡してください。

 

さて、次は、エビリファイによる体重の増減について説明します。

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エビリファイを服用すると太る?それとも痩せる?

ヤフー知恵袋などの質問サイトやSNSにて、エビリファイ服用者の体験談を見ていると、エビリファイを服用したことで痩せたという声もあれば、反対に太ってしまったと嘆くコメントも見受けられます。

 

そこで、ここではエビリファイによる体重増加、減少の理由について解説します。

 

まず、エビリファイの添付文書を読むと、統合失調症の治療にエビリファイを用いた場合、食欲不振の発現率が6.2%、体重減少が9.2%と高い数字になっています。

そのため、統合失調症患者がエビリファイを使用した場合には、副作用として痩せる可能性があると考えられます。

反対に、双極性障害の場合は体重増加の発現率が9.4%となっており、太る恐れがあります。

うつ病・うつ状態の場合も同様で、体重増加の発現率が10.1%なので、太る可能性があります。

 

このように、エビリファイを服用すると、痩せる人もいれば、太る人もいます。

そこで、それぞれの理由について解説しておきます。

 

エビリファイで痩せる理由

エビリファイを服用して痩せるのは、以下のような理由からです。

  • 太りやすい薬から切り替えた
  • 初期の下痢や嘔吐など
  • 食欲不振
  • 体を動かす機会が増えた

 

抗精神病薬は太りやすい薬が多いのですが、エビリファイは比較的その傾向が弱い薬です。

そのため、ジプレキサ、セロクエル、リスパダールのような太りやすい薬からエビリファイに切り替えると、体重増加の副作用が軽減するので、痩せたように感じられるのです。

 

次に、エビリファイを服用し始めると、最初は下痢や嘔吐などの症状が見られることがありります。

そのため、食べ物の栄養が吸収されにくく、体が水分も失うので、体重が減少します。

また、エビリファイには食欲不振の副作用があるので、服用前よりも食べる量が減るため、痩せることがあります。

 

最後に、エビリファイにより、引きこもりや意欲減退などの症状が治まると、以前よりも活動的となり、外出するなど、体を動かす機会が増えます。

その結果、消費カロリーが増えて、痩せやすくなるというわけです。

 

では、反対に太る理由について見ていきましょう。

 

エビリファイで太る理由

エビリファイで太るのは、以下の2つの作用が原因です。

  • 抗ヒスタミン作用
  • 代謝抑制作用

 

エビリファイは、他の抗精神病薬と比べて、抗ヒスタミン作用や代謝抑制作用が弱いので、体重増加や肥満の副作用は弱いとされています。

 

では、次にエビリファイの働きや作用機序について解説します。

 

エビリファイの働き

統合失調症では、神経細胞同士の情報伝達を担うドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の機能に異常が起きています。

エビリファイは、ドーパミンとセロトニンの受容体を遮断して、機能の異常を正常な状態に改善させる働きがあります。

そもそも、統合失調症では脳内のドーパミンの量が多くなっており、このために幻聴、幻覚、妄想、異常な興奮などの症状(陽性症状)が現れます。

そこで、脳内のドーパミンの働きを抑えることで、統合失調症の症状を緩和させます。

 

エビリファイの作用機序

ドーパミンが作用する受容体として、ドーパミンD2受容体があります。

以下の図のように、抗精神病薬は、このドーパミンD2受容体を遮断することで、ドーパミンがドーパミンD2受容体にくっつくことを阻害し、後部の神経細胞に刺激を伝えられないようにしています。

 

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出典:http://kusuri-jouhou.com/medi/img/schizophrenia-a2.jpg

 

このように、抗精神病薬は、ドーパミンの働きを阻害することで、ドーパミンの過剰によって起こる統合失調症の症状を改善させます。

ただし、抗精神病薬の作用により、ドーパミンの量が減りすぎてしまうと、ふるえ、筋肉の緊張、手足の不快感、じっとしていられない、運動機能の低下などの副作用(錐体外路症状)が現れることがあります。

ここのメカニズムを理解するためには、ドーパミンの神経路についての知識が必要なので、まずは各神経路におけるドーパミンの働きを解説します。

 

ドーパミンの神経路

 

まず、脳内におけるドーパミンの神経経路には、以下の4種類があります。

  • 中脳辺縁路
  • 中脳皮質路
  • 黒質線条体路
  • 漏斗下垂体路

 

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出典:http://www.mental-navi.net/togoshicchosho/images/fig_ts_n117.gif

 

では、各経路について順番に説明していきます。

 

中脳辺縁路

中脳辺縁路は、腹側被蓋野と側坐核を結ぶ経路です。

ここのドーパミンが過剰になると、統合失調症の陽性症状が起こると考えられています。

 

中脳皮質路

腹側被蓋野と前頭前野を結ぶ経路です。

ここのドーパミンの機能が低下すると、統合失調症の陰性症状が起こると考えられています。

陰性症状とは、感情の平板化、会話の貧困、引きこもり、意欲減退などをさします。

 

黒質線条体路

黒質と大脳基底核の線条体の経路であり、不随意運動を司る錐体外路系の一部です。

また、運動機能の調整も担います。

ここのドーパミン機能を低下させてしまうと、先に説明した錐体外路症状が生じます。

錐体外路症状には、主に以下の4種類があります。

  • パーキンソン病様症状
    筋剛直、ふるえ、姿勢の前屈、歩行困難
  • 急性ジストニア
    筋肉の緊張、異常な姿勢や動作、まぶたの痙攣
  • 急性アカシジア
    たえず歩き回る、睡眠不足、焦燥感、不安感
  • ジスキネジア
    顔面、体幹、四肢、指の不随意運動

 

漏斗下垂体路

腹側被蓋野と視床下部を結ぶ経路です。

 

以上から、抗精神病薬によって、ドーパミンの受容体が完全にブロックされると、黒質線条体路のドーパミンの働きも阻害してしまうために、運動機能に異常(錐体外路症状)が現れることがあります。

 

そこで、エビリファイは、ドーパミンの受容体を100%阻害するのではなく、ドーパミン量が適正になるように調整することで、上記のような副作用を軽減させています。

具体的には、ドーパミン量が過剰なときには、ドーパミンの受容体をブロックし、反対にドーパミン量が少なすぎるときには、ドーパミンの分泌を促すのです。

以下の図を見てください。

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出典:http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/060209html/image/s01.gif

 

図の左上は、ドーパミンを出す前部の神経が亢進状態にあり、ドーパミンが過剰に分泌されている様子を示しています。

このときは、左下のように、エビリファイの成分・アリピプラゾールが受容体をブロックすることで、ドーパミンの働きを阻害しています。

 

続いて、図の右上は、ドーパミンを出す前部の神経が低下状態にあり、ドーパミンの分泌量が不足しています。

このときは、右下のように、前部の神経に作動薬として働き、ドーパミンの分泌を促します。

 

このように、エビリファイは、ドーパミンを分泌する前部の神経に対しては、作動薬として働き、ドーパミンを受け取る後部の神経には遮断薬として作用します。

ドーパミンが少なければ、作動薬として、多ければ遮断薬として機能するのです。

これにより、統合失調症の陽性症状と陰性症状を改善し、錐体外路症状を軽減させています。

 

次に、エビリファイの効果について解説します。

 

エビリファイの効果

エビリファイには、以下のような効果があります。

  • 統合失調症の陽性症状と陰性症状の改善
  • 双極性障害における躁症状の改善
  • うつ病、うつ状態の改善

 

ただし、エビリファイは、効果発現までに最低約2週間はかかるので、2週間は続けて服用する必要があります。

エビリファイの添付文書にも以下のように記載されています。

健康成人15例にアリピプラゾール3mgを食後1日1回14日間反復投与した場合、アリピプラゾールの血漿中濃度は投与14日までに定常状態に到達し、反復投与後の消失半減期は約65時間であった

出典:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066520.pdf#search=%27%E3%82%A8%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4+%E6%B7%BB%E4%BB%98%E6%96%87%E6%9B%B8%27

 

なお、添付文書によると、臨床試験ではエビリファイを8週間投与した結果、統合失調症患者53例中25例に改善が見られています。(改善率47.2%)

 

次に、エビリファイを使用する際の注意点について解説します。

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使用上の注意

エビリファイを使用する際の注意点についてまとめておきます。

使用してはいけない人

以下に該当する人は、エビリファイを使用できません。

  • エビリファイでアレルギー反応を起こしたことがある人
  • アドレナリンの投与を受けている人

 

使用に注意が必要な人

以下に該当する人は、エビリファイの使用に際して注意が必要です。

  • 肝機能障害のある人
  • 心・血管疾患、低血圧の人
  • てんかん等のけいれん性疾患のある人
  • 本人または家族に糖尿病またはその既往歴のある人
  • 自殺念慮のある人または自殺企図の既往歴のある人
  • 高血糖、肥満の危険因子のある人
  • 高齢者

 

服用方法

<統合失調症>

1日6~12mg(液剤6~12ml)で服用開始し、1日6~24mg(液剤6~24ml)を維持量として、1~2回に分けて服用します。

1日の最大量は30mgです。

 

<双極性障害>

12~24mg(液剤:12~24ml)を1日1回服用します。

1日の最大量は30mgです。

 

<うつ病、うつ状態>

3mg(液剤:3ml)を1日1回服用します。

増量幅は1日量として3mgとし、1日の最大量は15mgまでです。

併用してはいけない薬

エビリファイは、アドレナリンと併用してはいけません。

アドレナリンの作用を逆転させ、重い血圧低下が起こることがあります。

 

 

その他の注意点

重大な副作用が発現する恐れがあるので、本剤は医師が特に必要と判断した場合にのみ使用されます。

服用にあたっては、患者およびその家族は副作用についての説明を十分に受けてください。

 

息切れ、胸痛、四肢の痛みや浮腫などが現れたら、服用を中止し、医師に報告しましょう。

眠気が起こったり、注意力、集中力、反射運動能力が低下したりすることがあるので、車の運転や危険な作業は避けてください。

エビリファイの薬価

エビリファイの薬価は以下の通りです。

散剤:1% 1g 168.2円

錠剤:3mg 1錠 82.5円、6mg 1錠 156.7円、12mg 1錠 297.8円

液剤:0.1% 1ml 83.4円

 

まとめ

エビリファイは、神経伝達物質の機能異常を正常な状態に改善させることで、統合失調症、双極性障害、うつ病の症状を緩和させます。

 

なお、エビリファイには、以下のような副作用があります。

不眠、神経過敏、ふるえ、食欲不振、肝機能障害など

特に、不眠や体重増加などの副作用は発現率が非常に高いので、注意が必要です。

 

エビリファイは、統合失調症の治療に用いた場合、食欲不振や体重減少の発現率が高いので、副作用として痩せる可能性があると考えられます。

反対に、双極性障害やうつ病・うつ状態の場合は、体重増加の発現率が高いので、太る恐れがあります。

 

エビリファイは、効果発現までに最低約2週間はかかるので、2週間は続けて服用する必要があります。

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