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「最近、顎の下が急に腫れてきた」ということはありませんか?

顎下が腫れるのは、唾液腺の病気や虫歯の進行などが原因であることが多いです。

しかし、まれに悪性腫瘍が原因で腫れが起きていることもあります。

 

今回は、顎の下が腫れる原因についてまとめておきます。

 

顎下の腫れの原因

顎の下が腫れるのは、次のような原因が考えられます。

  1. 唾石症
  2. 顎骨嚢胞
  3. ミクリッツ症候群
  4. 顎炎(顎骨炎)
  5. 顎骨腫瘍
  6. 化膿性唾液腺炎
  7. シェーグレン症候群
  8. 流行性耳下腺炎
  9. 口腔底膿瘍
  10. 口腔底蜂窩織炎
  11. 唾液腺の良性腫瘍
  12. 唾液腺の悪性腫瘍

では、順番に説明していきます。

 

 

唾石症

唾液管または唾液腺の中に結石ができる病気です。

通常は顎下腺に生じますが、まれに耳下腺にもできます。

 

症状

唾液管が唾石で閉塞されているために、食事の際に唾液の分泌量が増えると、導管内圧が急激に上昇するため、激しい痛みとともに、顎下腺が腫れます。(顎下腺炎)

痛みは30分から1時間ほどで消失します。

慢性化して唾液腺の機能が低下し、唾液腺が萎縮すると、食事による痛み、腫れはなくなります。

 

細菌感染が加わると、口腔底が赤く腫れ、導管開口部から排膿がみられ、顎下部の皮膚も赤く腫れます。

 

治療

小さい唾石は手術で摘出します。

唾石が顎下腺の中にあったり、唾液腺の機能がなくなっているときは、顎下腺ごと摘出します。

 

 

顎骨嚢胞

顎の骨の中に袋状のもの(嚢胞)ができる病気です。

顎骨嚢胞は、歯に原因があって起こるものと、そうでないものとがあり、どちらも顎が腫れるのが特徴です。

 

歯に原因がある嚢胞

まず、歯に原因がある嚢胞には、濾胞性歯嚢胞と歯根嚢胞があります。

 

濾胞性歯嚢胞

歯が生えるまでの期間、顎の骨の中で歯がつくられていきますが、歯をつくる組織が変化して、骨の中に嚢胞が生じ、中に歯冠と黄色の内容物が入っています。

 

歯根嚢胞

虫歯が原因で、歯の根の先端にできた歯根肉芽腫が大きくなって嚢胞になったものです。

この嚢胞に、細菌が感染すると、腫れたり痛みが生じます。

 

症状

嚢胞は徐々に大きくなって、顎の骨を溶かし、顎が腫れていきます

濾胞性歯嚢胞は痛みをともなうことはありませんが、歯根嚢胞は熱や痛みを伴うことがあります。

 

治療

嚢胞を放置しておくと、周囲の歯が動揺したり、上顎にできた嚢胞が上顎洞に広がり、蓄膿症をおこしたりすることがあるので、手術で嚢胞を摘出します。

歯根嚢胞は、虫歯が原因となるので、虫歯を早く治療しておくことが大切です。

 

歯に関係のない嚢胞

上顎に発生する嚢胞には、鼻口蓋管嚢胞と球状上顎嚢胞などがあります。

下顎に発生する嚢胞には、外傷性骨嚢胞などがあります。

 

症状

無症状ですが、まれに口蓋の中央で前歯の部分が腫れることがあります。

 

治療

上顎にできた嚢胞が大きくなると、鼻腔底の骨を吸収して、鼻づまりを起こすことがあるので、摘出することがあります。

外傷性骨嚢胞は治療の必要はありません。

 

ミクリッツ症候群

両側の耳下腺、顎下腺、涙腺に慢性の痛みのない腫れができる病気です。

白血病、悪性リンパ腫、サルコイドーシス、木村病、シェーグレン症候群などが原因で起こるものと、病気の原因が分からないものとがあります。

病気の原因を証明できないものは、ミクリッツ病とも呼ばれます。

 

白血病や悪性リンパ腫が原因のときは、発熱、全身倦怠感、強い口内乾燥が見られることがあります。

そして、両側対称的に耳下腺、顎下腺、眼瞼部が腫れます。

 

ミクリッツ症候群は、様々な検査で病気の全身的な広がりを確かめる必要があります。

原因が明らかになれば、その治療を行います。

原因が不明の場合は、非ステロイド性抗炎症薬を用いて、経過を観察します。

 

この病気は、悪性リンパ腫に変化する可能性があるので、定期的な検査が必要です。

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顎炎(顎骨炎)

まず、虫歯が進行して細菌が増殖すると、歯髄に炎症が及んで歯髄炎になります。

そして、歯髄の炎症は歯の根の先端に到達し、根尖性歯周炎を起こします。

この段階で治療を行わないと、炎症が歯の周囲や歯の植わっている歯槽骨におよび、歯槽膿瘍や歯槽骨炎になります。

 

さらに進行すると、顎の骨にまで炎症が広がり、顎炎(顎骨炎)になります。

 

症状

根尖性歯周炎の段階では、噛むと痛みが生じたり、歯が浮いた感じがしたりする程度です。

しかし、歯槽骨炎や歯槽膿瘍になると、痛みが強くなり、歯肉が赤く腫れたり、歯肉から膿が出たりします。

 

顎骨炎になると、痛みはますます強くなり、原因となる歯を中心に、歯肉が腫れ上がり、食事が困難になります。

顔が腫れたり、顎下リンパ節が腫れたりして、熱も出てきます。

炎症がさらに顎骨周囲の筋肉や結合組織に広がると、蜂窩織炎となって生命に関わる重篤な状態となります。

 

治療

治療には、抗菌薬、抗炎症薬、解熱鎮痛薬が用いられますが、安静を保ち、口腔を清潔に保つことが大切です。

膿瘍を形成している場合は、切開排膿を行います。

炎症が治まったら、原因となる歯の抜歯が必要です。

 

顎骨腫瘍

顎の骨の中に、硬い腫瘍ができる病気です。

顎骨腫瘍には、歯をつくる組織から発生するものと、歯に原因がなくて起こるものとがありますが、ほとんどが良性の腫瘍です。

 

歯に原因がある腫瘍

歯に原因がある腫瘍んいは、エナメル上皮腫と歯牙腫があります。

エナメル上皮腫

歯が発生するときの組織が変化して腫瘍となったものです。

この腫瘍はしばしば再発するだけでなく、まれに悪性化することがあります。

 

歯牙腫

歯が形成されるときに、正常な歯にならず、塊のようなものになったり、小さな歯がたくさん集合したものです。

 

症状

痛みがなく、徐々に腫瘍が大きくなります。

腫瘍の増大にともなって、顎が大きく腫れたり、歯がグラグラしてきたり、歯ならびが悪くなったりすることがあります。

 

治療

手術で腫瘍を摘出します。

エナメル上皮腫の場合は、顎の骨を切除することがあります。

 

歯に関係のない腫瘍

歯に関係のない腫瘍には、線維腫、線維性骨異形成症、骨腫、血管腫、軟骨腫などがあります。

こちらも、腫瘍はゆっくりと大きくなり、顎の骨が腫れてきます。

腫瘍が大きくなるにつれて、歯の動揺や噛み合わせの異常が起こることがあります。

 

 

化膿性唾液腺炎

唾液腺に炎症が生じた状態を唾液腺炎といいます。

化膿性唾液腺炎は、細菌による唾液腺炎です。

この病気は、唾液腺に特に異常がない人には、通常は生じません。

しかし、唾石による唾液の分泌障害がある場合や、全身の抵抗力が落ちているときに水分補給が不足した場合などには生じます。

 

抗菌薬を用いて治療しますが、唾石のような原因が残っている場合は、唾液腺炎を繰り返すので、原因を根本的に治療する必要があります。

 

シェーグレン症候群

膠原病の一つで、主に涙腺や唾液腺などの外分泌腺に炎症が生じて、涙や唾液などが出にくくなる病気です。

中年女性によくみられ、発症は50代がピークとなっています。

また、少数ですが、若者や高齢者にも発症することがあります。

 

症状

ドライアイのため、目の異物感、痛み、充血、目ヤニ増加などがあります。

明るいところでは、まぶしく感じます。

 

唾液が出にくいため、いつも口の中が乾燥しており、喉が渇きます。

さらに、口渇により食べ物を飲み込みにくくなります。

水分摂取量が増えるので、排尿回数も増えます。

 

唾液による口の中の洗浄ができないため、舌が荒れて、口角のただれが起きたり、虫歯が生じやすくなります。

 

耳下腺や顎下腺が腫れることもよくあります。

 

 

治療

涙や唾液の分泌を高める薬が用いられます。

目の乾燥には点眼薬、口の乾燥には人工唾液スプレーなどを使います。

 

流行性耳下腺炎

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、3~7歳くらいの子供がかかりやすい病気です。

終生免疫ができるので、一度かかれば生涯かかることはありません。

流行性耳下腺炎は、片側または両側の耳下腺が腫れて、痛みを生じるのが特徴ですが、顎下腺または舌下腺が腫れることもあります。

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口腔底膿瘍

まず、口腔底は、舌の裏面に覆われた下顎の内側の部分で、口腔内の底にあたる部位をさします。

この口腔底に急性炎症が生じる病気が口底炎です。

そして、口底炎は、大きく分けると、口腔底膿瘍と口腔底蜂窩織炎という2つがあります。

ここでは、口腔底膿瘍について説明します。

 

原因

虫歯や歯周病が、口腔底部におよんで起こります。

顎の骨折や扁桃腺、唾液腺、リンパ節などの炎症の後に起こることもあります。

ほとんどは、複数の細菌による混合感染です。

 

症状

口腔底に膿がたまります。

口腔底部や顎下腺の部分が腫れて痛み、高熱をともなうことが多いです。

ときに、顎が腫れて、二重あごのように見えることがあります。

 

治療

できるだけ早いうちに切開して、膿を取り出します。

また、強力な抗菌薬の内服が必要です。

 

口腔底蜂窩織炎

この病気は、症状は口腔底膿瘍と変わりませんが、口腔底膿瘍よりも重篤です。

病気の進行が速く、短時間で炎症が周囲に広がります。

切開しても膿が出ないことがあり、組織に壊死が起こったり、組織内にガスが溜まったりすることがあります。

炎症が周囲に及んでむくみを生じ、これが喉頭におよぶと、呼吸困難が起こったり、窒息することもあります。

 

治療では、できるだけ速やかに切開し、病巣の開放を行います。

また、強力な抗菌薬の点滴による治療を行うために、入院が必要です。

 

唾液腺の良性腫瘍

唾液腺に腫瘍が生じる病気が唾液腺腫瘍です。唾液腺腫瘍は、主に耳下腺と顎下腺に発生することが多いです。

 

なお、唾液腺腫瘍のうち、70%は良性腫瘍です。

ただし、舌下腺腫瘍、小唾液腺腫瘍、顎下腺腫瘍、耳下腺腫瘍の順に、悪性腫瘍の頻度が多くなります。

良性のものは、耳下腺に多く見られます。

 

腫瘍の種類

良性腫瘍には様々な種類がありますが、最も頻度が高いのは多形性腺腫です。

これは、腫瘍が乗除に大きくなり、腫脹以外に症状はありませんが、10年ほどで悪性化することがあります。

中年以降の男性には、ワルチン腫瘍という耳下腺腫瘍が見られます。

これは、左右の耳下腺に急激な腫れや痛みが起こるものです。

 

症状

唾液腺腫瘍の症状は、耳の下や顎の下の腫れ・しこりです。

多形性腺腫は、数年から十数年かけて徐々に大きくなりますが、痛みなどの症状はありません。

長い間、症状がなかった耳下腺腫瘍が急激に大きくなり、痛みをともなうとき、顔面神経に麻痺が見られるときは、多形性腺腫の悪性化が考えられます。

 

治療

手術で腫瘍を摘出します。

多形性腺腫は、悪性腫瘍に変化する危険があるので、早期の手術が必要です。

 

 

唾液腺の悪性腫瘍

唾液腺の悪性腫瘍には、粘表皮癌、腺房細胞癌、腺様嚢胞癌、腺癌、悪性リンパ腫などがあります。

悪性腫瘍は、40~70代に多く、性別では男性がやや多いです。

良性腫瘍も長期化することで悪性化する可能性があるので、若年から中年の良性腫瘍は手術による摘出が必要です。

悪性腫瘍の場合も早期の摘出手術が原則であり、化学療法や放射線療法が用いられることもあります。

『腫れ』ではなく『しこり』の原因は?

さて、ここまでは、顎の下が腫れる原因について説明しましたが、『腫れ』と紛らわしい症状に『しこり』があります。

顎の下が単に腫れるだけでなく、グリグリしたものができた場合は、上記の原因にくわえて、良性の皮膚腫瘍などの可能性もあります。

詳細は、以下の記事で説明しています。

 

顎の下のしこりが痛い9つの原因|痛くない場合は癌の可能性も

 

顎の下の腫れは何科?

前述したように、顎下の腫れは、虫歯の進行が原因の場合があります。

歯や歯肉が痛いなど、虫歯が疑われる場合は口腔外科、それ以外の場合は耳鼻科または耳鼻咽喉科にかかるのが適切だと考えられます。

内科でもよいのですが、耳鼻科に回される可能性があります。

 

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