「顎の下に急にしこりができた。」

「顎の下が腫れて、痛い。」

「しこりを押すと、コリコリしていて動く。」

「しこりが痛くはないが、徐々に大きくなっている気がする。」

 

顎の下にしこりができて、なかなか治らないと、悪い病気なのではないかと心配になってしまいますよね。

顎の下の腫瘍は、良性であることが多いです。

しかし、良性であったとしても、放置していると、最初は大豆程度の大きさであったものが、どんどんと成長し、ピンポン玉くらいの大きさになることもあります。

すると、全身麻酔の手術が必要になるケースもあるので、良性腫瘍だからといって、軽く考えてはいけません。

 

今回は、顎の下にしこりができる原因についてまとめておきます。

なお、しこりが痛くない場合は、悪性リンパ腫の可能性もあるので、早めに病院で診断を受けましょう。

 

顎の下のしこりの原因

顎下にしこりが生じるのは、次のような原因が考えられます。

  1. リンパ節の腫れ
  2. 唾液腺の良性腫瘍
  3. 脂肪腫
  4. 粉瘤
  5. 筋肉のこり
  6. 単純ヘルペス
  7. 唾液腺がん
  8. 悪性リンパ腫
  9. 悪性腫瘍の転移

では、順番に説明します。

 

リンパ節の腫れ

顎下にしこりができるのは、まずリンパ節の腫れが原因と考えられます。

顎の周りには、オトガイ下リンパ節、顎下リンパ節などのリンパ節があります。

通常は、これらのリンパ節は触っても分からないほど小さいものですが、何らかの理由でリンパ節が腫れると、手で押さえたときに、しこり(グリグリ)として認識できます。

 

そして、急にリンパ節が腫れるのは、急性リンパ節炎という病気が疑われます。

 

急性リンパ節炎は、細菌の感染などによってリンパ管に炎症が起こり、リンパ管とつながっているリンパ節に急性の炎症が起こる病気です。
感染したところの近くのリンパ節が腫れて硬くなり、手で押さえるとグリグリして痛みがあります。

喉の感染なら、首のところのリンパ節が腫れます。

 

原因となっている部位の治療が優先されますが、炎症が治るまで全身の安静を保つようにし、腫れたリンパ節は冷やします。

抗生物質の使用が必要なことが多いので、医師の診察を受ける必要があります。

ときには、リンパ節を切開して膿を出さなければならないこともあり、そのときは外科への受診が必要になります。

 

 

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唾液腺の良性腫瘍

唾液腺は、唾液を生成して分泌する働きをもっています。

唾液腺には、耳下腺、顎下腺、舌下腺などの大唾液腺と多数の小唾液腺があります。

この唾液腺に腫瘍が生じる病気が唾液腺腫瘍です。

唾液腺腫瘍は、主に耳下腺と顎下腺に発生することが多いです。

 

なお、唾液腺腫瘍のうち、70%は良性腫瘍です。

ただし、舌下腺腫瘍、小唾液腺腫瘍、顎下腺腫瘍、耳下腺腫瘍の順に、悪性腫瘍の頻度が多くなります。

良性のものは、耳下腺に多く見られます。

 

症状

唾液腺腫瘍の症状は、耳の下や顎の下の腫れ・しこりです。

 

治療

手術で腫瘍を摘出します。

 

 

脂肪腫

顎下のしこりの原因としては、脂肪腫の可能性もあります。

 

脂肪がある部分ならどこにでも生じる、良性の腫瘍です。

 

放っておいても問題はありませんが、大きいものは見た目の問題から、局所麻酔をして、腫瘍を取り出す手術により切除することが可能です。

 

 

粉瘤

脂肪腫と同様に、皮膚にできる良性腫瘍として、粉瘤の可能性もあります。

粉瘤は、表皮、あるいは毛包の細胞が増殖してできる嚢腫(袋)です。

大豆程度のしこりから、長年放置された拳くらいの大きさになるものまで様々です。

 

粉瘤は、皮膚内にしこりを感じて気づくことが多いようです。

袋の内部にはやわらかくなった角質が溜まっています。

皮膚の表面に広がった毛穴が見えることがあり、外側とつながっていることがあります。

このような場合は、悪臭をともなう白い膿のような内容物が出てくることがあります。

 

袋が皮膚の中で破れると、強い炎症を起こして、周囲が紅色に腫れて痛みを伴うようになります。

そのままにしておくと、表面の穴があいて、ドロドロした粥状の内容物が出てくることがあります。

 

粉瘤は、局所麻酔による手術で治療します。

綺麗なしこりの場合は、袋を周囲から剥離させて、皮膚の中から取り出します。

この場合は、縫い合わせることができるので、傷を早く治すことができます。

 

皮膚の中で袋が破れて、周囲に炎症が広がっている場合は、腫れている箇所をメスで切開して、内容物を取り出し、中をよく洗います。

このようなときは、縫い合わせることができないので、炎症が治まって傷が閉じるのを待ちます。

また、腫れている場合は、細菌感染をともなっていることが多く、抗生物質を内服します。

 

巨大になると、入院や全身麻酔が必要な手術になるケースもあり、炎症が起こると治癒に時間がかかります。

そのため、小さいうちに切除することが大切です。

 

筋肉のこり

顎の周りには、顎舌骨筋(がくぜつこつきん)、顎二腹筋(がくにふくきん)、オトガイ舌骨筋、オトガイ舌筋、茎突舌筋(けいとつぜつきん)、舌骨舌筋など様々な筋肉が張り巡らされています。

ストレスや歯ぎしりなどにより、顎周囲の筋肉がこると、硬くなってしこりのように感じられることがあります

 

単純ヘルペス

続いて、単純ヘルペスを発症した場合も、顎下にしこりが生じることがあります。

単純ヘルペスは、単純ヘルペスウィルス1型または2型の感染後、神経節に潜伏したウィルスが再活性化することで起こります。

この病気は、一度感染すると、ウィルスが神経節の中に生涯潜み、発熱、紫外線、ストレス、疲労、性交などの刺激や免疫力低下によって、症状が再発します。

 

症状

初感染の場合、感染後4~7日すると、性器や顔面などにかゆみや疼痛が現れ、その後、水疱がたくさんできます。

口腔内では、ただれが多数でき、痛みます。

高熱とリンパ節の腫れも見られます。

 

治療

抗ウィルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)の内服を行ないます。

重症の人では、抗ウィルス薬の点滴静注を行ないます。

 

唾液腺がん

唾液腺がんは、唾液腺にできる悪性腫瘍で、耳下腺に多く、ついで顎下腺に発生します。

口蓋、歯肉の頬粘膜移行部、口唇粘膜などにも発生します。

 

症状

片側の耳下腺部や顎下腺部に腫瘤が見られます。

以前からの腫瘤が急に増大したり、痛みや顔面神経麻痺が出ることもあります。

頸部や肺への転移があります。

 

治療

関係する唾液腺および周囲の健常組織を含めた切除が行われます。

腺体の中を通る顔面神経を一緒に切除する場合があります。

放射線療法との併用も行われます。

 

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悪性リンパ腫

 

悪性リンパ腫は、リンパ組織を構成するリンパ節、脾臓、扁桃などのB細胞やT細胞が悪性化して、無制限に増殖し、腫瘤を形成する病気です。

悪性リンパ腫は、白血病とならぶ代表的な血液の癌です。

 

体の表面近くのリンパ節が腫れてきて、いわゆるグリグリができますが、押しても痛くなく、周囲に傷口や化膿も見あたりません。

グリグリの発生しやすい部位は、首、脇の下、脚の付け根などです。

病気が進行すると、何箇所ものリンパ節が腫れてきて、発熱、体重減少、寝汗などの症状が見られます。

 

 

 

 

悪性腫瘍の転移

癌の中には、頸部リンパ節(顎の下や首)に転移しやすいものがあり、癌が転移を起こすことで、顎の下にしこりを生じることがあります。

例えば、次のような種類の癌は、比較的頸部リンパ節への転移が起こりやすいと言われています。

 

  1. 舌癌
  2. 咽頭癌
  3. 喉頭癌
  4. 肺癌

 

『しこり』ではなく『腫れ』が原因の可能性も

前項では、顎の下にしこり(グリグリ)ができる原因について説明しました。

しかし、実際には、腫れをしこりと勘違いしているケースもあります。

例えば、唾液腺の病気の中には、顎の下にしこりではなく、腫れをともなうものも少なくありません。

 

顎の下が腫れる原因については、以下の記事で詳しく説明しているので、腫れなのかしこりなのか区別が難しいという方は、こちらの記事もチェックしてみてください。

 

顎の下が腫れる12の原因

 

喉にしこりができる原因

顎の下と喉の境目は曖昧です。

顎の下のしこりや腫れは唾液腺の病気が疑われますが、喉の場合は甲状腺の疾患も考慮する必要があります。

 

顎の下ではなく、喉にしこりができる原因については、こちらの記事で詳細に解説しています。

喉にしこりができる4つの原因

 

 

顎下のしこりや腫れは何科?

顎下のリンパ節が腫れたり、痛みが生じるのは、虫歯の進行が原因の場合があります。

現在虫歯を患っているなど、虫歯が原因と疑われる場合は口腔外科、それ以外の場合は耳鼻咽喉科にかかるのが適切だと考えられます。

 

まとめ

本記事で説明したように、顎下のしこりは、たいていは良性腫瘍であることが多いです。

しかし、唾液腺がんや悪性リンパ腫、その他の癌の転移などが原因の場合もあるので、早めに医療機関を受診しましょう。

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