胃腸風邪は、その名の通り胃腸を中心に症状が現れる風邪です。

下痢、嘔吐、腹痛など消化器系に強い症状が現れるのが特徴です。

風邪というと、寒い季節にかかりやすいイメージを持っている人が多いようですが、胃腸風邪は年中発症するリスクがあります。

 

今回は、2017年の胃腸風邪の症状についてまとめておきます。

胃腸風邪の種類

まず、胃腸風邪は感染性胃腸炎の通称であり、ウィルスや細菌によって胃腸が炎症を起こすものです。

胃腸風邪には、ウィルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎があり、次のような病原体が原因です。

ウィルス性

  • ロタウィルス
  • ノロウィルス
  • アデノウィルス

細菌性

  • サルモネラ菌
  • 腸炎ビブリオ
  • カンピロバクター

 

胃腸風邪は、原因となる病原体の種類によって、特徴や症状が異なります。

そこで、次は、各病原体における胃腸風邪の症状について説明します。

 

 

胃腸風邪の症状

ここでは、以下の種類の胃腸風邪において、特徴や症状を解説します。

ウィルス性

  • ロタウィルス
  • ノロウィルス
  • アデノウィルス

細菌性

  • サルモネラ菌
  • 腸炎ビブリオ
  • カンピロバクター

 

では、順番に見ていきましょう。

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ロタウィルス

ロタウィルスは、乳幼児下痢症の原因として最も多い感染源です。

非常に感染力が強く、免疫のない小児がかかりやすいです。

 

感染経路

唾液や糞便などの排泄物からの経口感染が主な感染経路です。

およそ100個のウィルス粒子で感染が起こります。

患者の便1mlには、約1000億個のウィルス粒子が含まれているため、おむつ処理などを適切に行わないと、乳児が再感染する可能性が高いです。

 

潜伏期間

潜伏期間は2~3日です。

 

症状

大量の水様性下痢や激しい嘔吐などの症状が現れます。

37度ほどの微熱を伴うこともあります。

急激な脱水により死亡するケースもあります。

合併症などを起こさなければ、通常は嘔吐は1~2日で、下痢は1週間ほどで治まります。

 

なお、ロタウィルス胃腸炎の大人と子供の症状の違いなど、詳細については以下の記事にまとめています。

ロタウィルス感染症の症状や検査方法まとめ

 

治療

乳児が発症した場合は、脱水による死亡を防ぐために、病院で適切な治療が必要となります。

特に、嘔吐と下痢が同時に起きている場合、嘔吐により飲み物が飲めないため、点滴が必要となるので、早めに医療機関にかかりましょう。

 

流行時期

流行時期は2月~5月です。

 

予防

ロタウィルス胃腸炎の予防には、ワクチン接種が有効です。

ワクチンの種類や料金などの詳細については、以下の記事で解説しています。

ロタウィルス予防接種の料金相場や副作用などまとめ

 

ノロウィルス

ノロウィルスは下痢症の原因として世界で最初に発見されたウィルスです。

毎年、秋から冬にかけて流行しており、年齢を問わず感染し、激しい嘔吐と下痢などの症状が特徴です。

 

感染経路

糞便や吐瀉物などによる経口感染が主な感染経路です。

排泄物に含まれたウィルスからも感染するので、家族や介護者などの生活空間をともにする人に感染する可能性が極めて高いです。

ノロウィルスの感染力や感染しやすい場所については、以下の記事で詳細に説明しています。

ノロウイルスの感染リスクが高い場所や感染力について解説

 

潜伏期間

潜伏期間は1~2日です。

 

症状

激しい嘔吐と下痢が特徴であり、発熱をともなうことがあります。

体力の弱い乳児や高齢者は脱水症状を起こしやすいので、水分補給に気をつけることが大切です。

 

治療

抗ウィルス薬はなく、症状が落ち着くまで安静にしているしかありません。

症状が重い場合は、点滴による補液で治療を行ないます。

通常は、5~6日ほどで快復しますが、完治後にもいくつか注意点があります。

 

ノロウイルス胃腸炎の完治の判断や完治後の注意点などについては、以下の記事で解説しています。

ノロウイルス胃腸炎の完治の判断方法や完治後の注意点まとめ

 

流行時期

ノロウイルス感染症は、例年秋から冬にかけて流行します。

2017年現在の流行状況については、以下の記事で説明しています。

ノロウイルス2017年の流行状況まとめ

 

予防

ノロウイルスに対しては、ワクチンが存在しません。

予防には、次のような事柄に気をつけましょう。

  • 用をたした際や感染者の便、吐物を処理した場合は、必ず石鹸を使って手を洗う
  • 感染者の汚物を処理する際には、ビニール手袋を着用する
  • トイレはレバーや便座などを除菌してから使う
  • 帰宅した際には、手洗い、うがいを励行する
  • 生の魚介や肉、生卵は控える
  • 食品は85℃以上で中心部まで加熱調理を行う
  • 不要な外出は避ける
  • 外出する際には、マスクを着用する

 

なお、ノロウイルスの予防には、ラクトフェリン入りのヨーグルトが効果的だと言われています。

詳細は、以下の記事で説明しています。

ノロウイルス予防にヨーグルトが効果的な理由を解説

 

 

アデノウィルス

アデノウィルスは、風邪を発症するウィルスの1つとして知られています。

現在、アデノウィルスには51種が確認されており、それぞれ呼吸器、消化器、眼球結膜など異なる組織に感染し、症状も異なります。

 

感染経路

アデノウィルスは、患者の咳やくしゃみによる飛沫が鼻や口から侵入し、扁桃腺や気道に感染します。

ウィルスは便にも排泄されるので、便から感染することがあります。

また、目の結膜からウィルスが入り込むこともあります。

 

 

 

潜伏期間

潜伏期間は2~7日ほどです。

 

症状

前述の通り、アデノウィルス感染症による症状は、ウィルスの種類によって異なります。

高熱、胃腸炎、肺炎、結膜炎など症状はさまざまなです。

 

胃腸炎を起こすタイプのウィルスに感染した場合、ロタウィルスと同様に水様性の白っぽい便が出ることがあります。

ただし、下痢の症状はロタウィルスに比べて軽いと言われています。

 

治療

感染したウィルスの型によって症状が異なるので、それぞれの型に適した対症療法がとられます。

 

流行時期

主に夏場に流行しますが、1年中感染のリスクはあります。

 

予防

有効な抗ウィルス薬はありません。

患者の唾液、鼻水、便、涙などからうつるので、家族間でのタオルの共用などは避けましょう。

 

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サルモネラ菌

サルモネラ菌は、肉や卵に含まれており、食中毒を引き起こす原因菌として知られています。

 

感染経路

感染経路としては、食中毒経路と感染症経路の2つの感染経路があります。

食中毒は、汚染された食品や加熱不十分な食品をとることで起こります。

また、汚染された調理器具などからも感染が起こります。

 

感染症経路では、患者やペットの糞便に触れたり、細菌に汚染された箇所に触れることで起こります。

 

潜伏期間

潜伏期間は、半日~3日ほどです。

 

症状

悪心、嘔吐、腹痛の後、38度前後の発熱と下痢が起こります。

下痢は、水様性で、血や膿のようなものが混じることがあります。

これらの症状は3~7日ほどで治まりますが、場合によっては1週間以上続くこともあります。

 

小児や高齢者では、菌血症※などの合併症を起こして重症化したり、快復が遅れることもあるので、注意が必要です。

※菌血症:細菌が血液中に侵入した状態で、細菌性髄膜炎や感染性心内膜炎などの感染症を起こすことがあります。

 

治療

抗生物質や整腸剤などにより治療します。

食中毒の症状がひどい場合は、点滴による治療や入院が必要なこともあります。

 

流行時期

例年7~9月頃に流行します。

 

予防

食中毒による感染を防ぐには、以下の予防法が有効です。

  • 肉や卵はよく加熱する
  • 夏場は卵を生で食べない
  • 生肉に触れたときは手洗いをする
  • 調理器具は殺菌してから使う

 

また、接触による感染は、次の方法で予防しましょう。

  • 帰宅時やトイレの後は手洗いや消毒をきちんと行う
  • ペットに触れたり、糞尿処理を行ったときは手洗いを行う

 

 

腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオは、海水や海の泥に棲息している細菌です。

夏場になると、活発に活動するようになり、アジやサバなどの内蔵やエラに付着して、それを口にすることで食中毒を引き起こします。

 

感染経路

水揚げされた魚介類に付着しているため、腸炎ビブリオに汚染された海産物(アジ、サバ、イカ、タコなど)を生で食べたり、不適切に調理された食品をとることで感染します。

夏場に刺し身など、加熱していない魚介類を食べた後に、強い腹痛や下痢などの症状が現れたら、腸炎ビブリオによる食中毒の疑いがあります。

また、皮膚の傷口などから感染することもあるので、傷がある状態で海水浴をした後に、下痢や嘔吐などの症状が現れた場合も腸炎ビブリオが疑われます。

 

潜伏期間

潜伏期間は半日~1日ほです。

 

症状

下痢、腹痛、嘔吐、発熱などの症状が現れます。

 

治療

多くの場合は、数日で快方に向かい、自然治癒します。

体力のない高齢者や幼児は、脱水症に注意し、スポーツ飲料などで水分とミネラルを補給しましょう。

 

流行時期

腸炎ビブリオは、海水を好み、水温が15度以上になると活動的になるため、夏場に沿岸部で増殖します。

5~6月から徐々に増加し、7~9月の夏に流行します。

 

予防

予防には、以下の方法が有効です。

  • 調理前に魚介類を真水でよく洗って、菌を洗い落とす
  • 魚介類を調理した器具はよく洗浄、消毒してから使う ※1
  • 加熱する際は65℃で4~5分 ※2

 

※1:腸炎ビブリオは魚のエラに付着しているので、魚を調理したまな板で、別のものを調理すると、二次汚染の恐れがあります。

 

※2:腸炎ビブリオは、真水、酸、熱に弱く、65℃で4~5分加熱すると死滅します。

 

 

カンピロバクター

カンピロバクターは、牛や鶏などの家畜を始めとする、さまざまな動物の腸管などに常在する細菌です。

通常、この菌は動物に対しては無害ですが、人に感染することで下痢などの症状を引き起こします。

カンピロバクターは、日本の細菌性食中毒の原因として最も多いです。

 

感染経路

主な感染経路は、飲食によるもので、十分な加熱のないまま菌を保有する家畜の肉を食べる、あるいは調理の際に菌が他の食器や食材へとうつるといったことで感染に至ります。

感染力が強く、100個程度のわずかな菌でも発症します。

 

潜伏期間

潜伏期間は1~7日ほどです。

 

症状

主な症状は、下痢、腹痛、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感、筋肉痛、嘔吐などです。

風邪に似た症状が現れます。

まれに、ギランバレー症候群などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。

 

ギランバレー症候群は、風邪や下痢のあと、手足の左右の同じところに痺れが出て、脱力、筋力低下、感覚がにぶるなどの症状が見られ、歩行困難になることもあります。

 

治療

2~5日ほどで自然治癒することが多いです。

場合によっては、エリスロマイシンなどの抗生物質が使われることもあります。

 

流行時期

5~7月、10月前後に流行します。

 

予防

カンピロバクターには、ワクチンがありません。

予防するには、以下の点に注意しましょう。

  • 肉類を生で食べない
  • BBQなどで肉を食べるときは、中まで火が通っていることを確認する
  • 肉と他の食品は調理器具や容器を別にする
  • 生肉に触れた後は、手を洗う

 

 

まとめ

胃腸風邪(感染性胃腸炎)は、ウィルスや細菌によって胃腸が炎症を起こすものです。

胃腸風邪には、ウィルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎があります。

ウィルス性では、ロタウィルス、ノロウイルス、アデノウィルスなどが、細菌性ではサルモネラ菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどの病原体が原因となります。

いずれも、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器系の症状が現れるのが特徴です。

 

胃腸風邪は、年中感染するリスクがあり、冬から春にかけてはロタウィルス、春から夏にかけては腸炎ビブリオやカンピロバクター、夏はアデノウィルス、秋から冬はノロウイルスといったように、1年中何らかの病原体による胃腸炎が流行しています。

これらの病原体による感染性胃腸炎を予防するには、次のことに注意しましょう。

  • 帰宅時の手洗いやうがいの励行
  • 食べ物はよく加熱する
  • 夏は特に生ものを食べない
  • 除菌や消毒を適切に行う

 

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