A型、B型インフルエンザ感染症の治療剤であるイナビルの副作用、作用機序、予防投与、薬価などについて解説します。

小児が服用した場合、タミフル同様に、イナビルも異常行動が現れることがあるので、注意が必要です。

イナビルの副作用

イナビルには、以下のような副作用があります。

蕁麻疹、下痢、胃腸炎、悪心、吐き気、腹痛、めまいなど

 

イナビルの添付文書によると、これらの副作用の発現率について以下のように記載されています。

使用成績調査(調査期間:2010年11月~2011年 4 月)において、総症例3,542例中50例(1.4%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。

主な副作用は、下痢(0.31%)、めまい(0.11%)、悪心(0.08%)、蕁麻疹(0.08%)、発熱(0.08%)等であった。

‌出典:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00058821.pdf#search=%27%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%93%E3%83%AB+%E6%B7%BB%E4%BB%98%E6%96%87%E6%9B%B8%27

 

このため、副作用としては、下痢やめまいなどの症状が現れやすいと言えます。

続いて、イナビルの重大な副作用について説明します。

 

イナビルの重大な副作用

イナビルには、次のような重大な副作用が起こることがあります。

アナフィラキシー様症状、気管支けいれん、呼吸困難、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症、多形紅斑、ショック

 

ここで、聞き慣れない症状や疾患がある場合は、以下の記事をチェックしてみてください。

次の記事では、薬の副作用で現れる症状についてより詳しく説明しています。

薬の副作用まとめ

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イナビルの作用機序

イナビルはインフルエンザウィルスを殺す薬ではなく、ウィルスの増殖を抑える薬です。

イナビルの作用機序を理解するために、まずはインフルエンザウィルスの構造について説明します。

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出典:http://薬局実習.com/

 

上図のように、インフルエンザウィルスは、表面にノイラミニダーゼ(NA)ヘマグルチニン(HA)という2種類のタンパク質が突起しています。

ヘマグルチニン(HA)は、ヒトの細胞に入り込む際に必要であり、ノイラミニダーゼ(NA)は細胞へ侵入した後にウィルスを複製させる際に働きます。

 

まず、ウィルスが宿主細胞(ウィルスが寄生する細胞のこと)に寄生する際は、ヘマグルチニン(HA)が宿主細胞のシアル酸と結合することで、ウィルスが細胞内へと侵入します。

そして、宿主細胞にてウィルスを増殖させた後、別の細胞に寄生するために、元の細胞からウィルスが遊離します。

このとき、ノイラミニダーゼ(NA)は、ウィルスとシアル酸との結合を切り離し、遊離させるのです。

 

ここまでをまとめると、以下の図のようになります。

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ウィルスは、宿主細胞への侵入、増殖、遊離、侵入を繰り返し、どんどん増殖していきます。

 

イナビルには、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物という成分が含まれており、上記の過程において、ノイラミニダーゼ(NA)の働きを阻害することで、ウィルスが宿主細胞から遊離するのを抑制します。

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このように、ウィルスが宿主細胞から遊離するのを阻止することで、ウィルスを細胞内に閉じ込め、さらなる増殖を抑制するというわけです。

繰り返しになりますが、イナビルはインフルエンザウィルスを殺すことはできません。

イナビルの服用は、あくまでウィルス増殖を抑えるのが目的です。

また、インフルエンザウィルスは増殖のスピードが速く、1個のウィルスがわずか1日で100万個に増加します。

そのため、症状が現れてからできる限り早く、遅くとも48時間以内に投与することを推奨されています。

 

さて、イナビルの作用機序が分かったところで、次はイナビルを服用するメリットについて解説します。

 

イナビルの特徴やメリット

イナビルは、国内で初めて開発されたインフルエンザの治療薬です。

先に説明したように、ノイラミニダーゼという酵素の働きを阻害することで、ウィルスの増殖を抑制します。

 

イナビルは、吸入により、ウィルスの主な増殖部位である気道粘膜に直接届いて効き目を発揮します。

内服薬と異なり、全身的な影響が少ないという利点があります。

また、治療に用いる場合、リレンザ(ザナミビル水和物)は5日間の吸入ですが、イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)は1日だけで完結するため、症状改善による服薬中止や服薬忘れの心配がないというメリットがあります。

 

なお、イナビルは1回の吸入で効果が期待できます

A型およびB型インフルエンザウィルスに有効ですが、C型インフルエンザウィルスへの効果はありません。

 

続いて、イナビルの効果の発現時間や持続時間について説明します。

イナビルの効果はいつから現れ、いつまで続くのか?

イナビルの効き目が現れるまでにかかる時間や効果の継続時間については、説明が長くなるので、以下の記事にて解説しています。

イナビルの効果は何時間後に発現し、いつまで続くのか?

 

次に、イナビルを服用する際の注意点について説明します。

 

使用上の注意

イナビルを使用する際の注意点についてまとめておきます。

使用してはいけない人

イナビルで過去にアレルギー反応を起こしたことがある人は、使用できません。

 

使用に注意が必要な人

慢性呼吸器疾患のある人は、 イナビルの使用に際して注意が必要です。

 

服用方法

成人は、40mgを単回吸入します。

10歳未満の小児は、20mgを単回吸入します。

使用する際は、座るなどくつろいだ状態で吸入してください。

 

併用してはいけない薬

併用してはいけない薬は、特にありません。

ただし、併用する薬があるときは、念のために処方医に相談してください。

 

その他の注意点

その他の注意点についてまとめておきます。

 

乳製品

乳製品に対するアレルギーのある人や、その前歴のある人が本剤を使用すると、アナフィラキシーが現れたとの報告があるので、使用する前には処方医にそのことを伝え、使用する際には十分に注意してください。

 

小児・未成年

本剤の使用後には、異常行動による転落などの万が一の事故を防止するため、治療開始後は少なくとも2日間、保護者などは小児、未成年者が1人にならないように配慮してください。

 

本剤は、医師が必要と判断した場合にのみ使用されます。

万一、血圧低下、顔面蒼白、冷汗などショック症状が現れたら、あおむけに寝て安静な姿勢を保ち、補液を行うなどの適切な処置をとってください。

 

次に、イナビルの薬価について記載しておきます。

 

イナビルの薬価

イナビルの薬価は以下の通りです。

20mg 1キット 2139.9円

なお、予防投与では、成人の場合40mg(2キット)を使用するため、薬価分だけで4279.8円かかります。

 

続いて、イナビルの予防投与における注意点や費用について解説します。

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イナビルの予防投与

まず、イナビルを予防のために用いる場合は、原則としてインフルエンザウィルス感染症を発症しているヒトの同居家族、または共同生活者で、65歳以上の高齢者、慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、糖尿病などの代謝性疾患、腎機能障害の人が対象となります。

 

服用方法

成人の場合は、40mgを単回吸入します。

もしくは、20mgを1日1回、2日間吸入することもできます。

10歳未満の小児の場合は、20mgを単回吸入します。

 

注意点

イナビルを予防に用いる場合は、インフルエンザウィルス感染者に接触してから2日以内に投与を開始する必要があります。

イナビルの添付文書によると、接触から48時間経過後に投与を開始した場合における有効性は証明されていません。

また、イナビルを服用してから10日以降のインフルエンザウィルス感染症に対する予防効果も確認されていません。

 

保険適用の有無

まず、イナビルの予防投与は治療ではないので、自費診療となり、保険は適用されません。

 

イナビルの予防投与にかかる費用

先に説明したように、イナビルの予防投与では、成人は40mg(2キット分)を使用するため、薬価分の費用は4279.8円となります。

これに、調剤料、基本料、薬剤服用歴管理指導料などを加えると、薬の費用だけで5000円ほどになります。

そして、薬の費用に加えて、病院での受診料金が加算されるので、イナビルの予防投与にかかる費用は、おおよそ9000~10000円くらいと考えられます。

 

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