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お腹の上の方、みぞおちのあたりが痛むことはありませんか?

上腹部の痛みの原因としては、食べ過ぎ・飲み過ぎ、喫煙、ストレス、冷えなど様々な要因が考えられますが、実はいくつかの病気がサインを出していることもあります。

そこで、今回は上腹部に痛みを生じさせる病気についてまとめておきます。

「最近、お腹の上のあたりが痛い。」という人は、ぜひチェックしておいてください。

 

上腹部の部位と病気の関係

上腹部には、次の3つの部位があり、それぞれの場所によって疑われる病気が異なります。

  • 右上腹部が痛む
  • 左上腹部が痛む
  • 上腹部中央(みぞおち)が痛む

そこで、それぞれの部位に痛みがでる病気について紹介します。

 

右上腹部が痛む

まず、右上腹部に痛みをともなう病気としては、次の6つの疾患が挙げられます。

  1. 急性ウィルス肝炎
  2. アルコール性肝炎
  3. 肝硬変
  4. 胆嚢炎(たんのうえん)
  5. 腎結石
  6. 尿道結石

では、それぞれの病気の原因、症状、治療法について順番に解説します。

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1.急性ウィルス肝炎

右上腹部の鈍痛や膨満感(ぼうまんかん)に加えて、全身の倦怠感、食欲不振、吐き気、発熱などの症状が現れます。

さらに、これらの症状が1~2週間ほど続いた後、黄疸(おうだん)※が見られます。

※黄疸とは、眼や皮膚が黄色くなった状態のこと。

 

なお、日本で急性ウィルス肝炎を発症する人は、次の3種類のいずれかにかかることが多いです。

  • A型急性肝炎
  • B型急性肝炎
  • C型急性肝炎

 

<A型急性肝炎>

【原因】

A型肝炎ウィルスの経口感染により発症します。

このウィルスは胆汁に混じっており、便によって排泄されますが、それが水や食物を汚染することで人に感染します。

現在の日本は、衛生環境が整っているので、発症する人は少ない病気です。

ただし、東南アジアでは、衛生設備の整っていない国も多く、旅行などで訪れた場合は、帰国してから発症することがよくあります。

20代や30代の人に多い病気です。

 

【症状】

感染してから、約1ヶ月の潜伏期間を経て発症します。

発熱、全身の倦怠感、食欲不振などの風邪に似た症状が現れ、その数日後に黄疸が出てきます。

まれに、腎不全を合併したり、胆汁うっ滞性肝炎に発展して、病気が長期化することもあります。

 

【治療】

発症後は安静にしておけば、2ヶ月以内に完全に自然治癒することが多いです。

黄疸が見られた場合は、入院して安静にしつつ、栄養バランスの良い食事を摂ります。

また、薬物療法が行われる場合もあります。

 

<B型急性肝炎>

【原因】

B型肝炎ウィルスに感染することによって発症します。

このウィルスは血液に混じるので、輸血や注射などによって感染します。

また、傷口から血液を介して血管に入ったり、唾液などの体液からうつることもあります。

ただし、輸血で用いられる血液は検査が徹底されてきたので、現在では輸血による感染はほとんどありません。

また、感染しても発症しない人もいます。

 

【症状】

A型急性肝炎と同様に、発熱、全身の倦怠感、黄疸などの症状が現れます。

熱は、A型ほど高くはなく、数ヶ月で完全に治癒します。

感染してほとんど症状が現れない場合は、そのまま治ることもありますが、ウィルスが体内にとどまることで、慢性肝炎に発展することもあります。

なお、B型急性肝炎は、急性肝炎のほぼ3割を占めています。

 

【治療】

ほとんどは、A型肝炎と同じ処置が施されます。

 

<C型急性肝炎>

【原因】

主に血液を介した非経口経路により、C型肝炎ウィルスは感染します。

最近では、B型肝炎ウィルスだけでなく、C型肝炎ウィルスの検査も導入されているので、輸血による感染は減少しています。

 

【症状】

1週間から4ヶ月ほどの潜伏期間を経て、発熱、全身倦怠感などの症状が現れます。

症状そのものは、A型やB型よりも軽い傾向にあります。

ただし、A型やB型に比べて、慢性に移行する確率が高く、C型にかかった人の70%が慢性化します。

 

【治療】

通院で治療する場合は、家庭では安静にして、食事は糖質やタンパク質を多く摂るようにします。

黄疸が出るなどしたら、入院して、安静、食事療法を行います。

薬物療法としては、慢性化を予防するために、インターフェロン※を投与する場合もあります。

※インターフェロンは、ウィルスの増殖を抑制する働きのあるタンパク質のこと。

 

2.アルコール性肝炎

全身の倦怠感、みぞおちのあたりの不快感、吐き気、食欲不振、体重減少などがみられます。

 

【原因】

肝細胞が壊れて、肝臓に炎症が起きてしまう病気です。

一般的には、禁酒により改善することが可能ですが、急性肝不全を起こすと危険な状態となることがあります。

 

【症状】

脂肪肝と同じような、全身倦怠感、腹部膨満感のほかに、上腹部の痛み、吐き気、嘔吐、下痢などが現れ、体重も減少していきます。

また、発熱、肝臓腫大、黄疸、腹水なども起きます。

 

【治療】

入院して食事療法や精神療法が行われます。

肝炎の治療のほかにアルコール依存の治療も行います。

 

3.肝硬変

全身の倦怠感、微熱、食欲不振、腹痛などが起きます。

指先や指の付け根に紅斑(こうはん)が現れたり、首、肩、胸などにクモの手足のような毛細血管の広がりが見られます。

※紅斑や毛細血管の広がりなどの画像を見たい方は、Googleで「肝硬変 紅斑」、「肝硬変 毛細血管」などで画像検索すると見つかります。

見た目が少しグロテスクなので、こちらの記事に画像を掲載することは控えております。

 

【原因】

肝細胞は再生力が強いので、普通は肝炎などで壊れて死んでも、新しい細胞ができます。

しかし、慢性肝炎が長期におよぶと、肝細胞は再生、壊死を繰り返し、徐々に線維化していき、硬くなります。

このような線維化が肝臓全体におよぶのが肝硬変です。肝臓が硬くなったり、凹凸が目立った状態は結節肝と呼ばれています。

 

肝臓が硬くなると、肝臓へ流れこむ門脈の血液が阻まれてしまい、肝外へ流れていきます。

それにより、食道や胃の静脈をうっ血させて、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)などを合併します。

昔は、死亡率の高い病気でしたが、今は治療方法の進歩で改善されています。

ただし、肝臓を元通りに治す方法はありません。

肝硬変は、B型およびC型のウィルス性肝炎が原因となって発症する場合がほとんどです。

 

【症状】

自覚症状がない場合もあります。

症状が現れる場合は、初期には全身倦怠感、食欲不振、微熱、腹部膨満などです。

手の真ん中から外が赤くなり、胸や背中にクモが手足を広げたように赤い斑点が出てきます。

また、男性の乳房が膨らんだりすることもあります。

進行すると、黄疸、腹水、意識障害などが現れます。

静脈瘤から出血すると、吐血や下血が起こることもあります。

 

【治療】

進行状態や時期に合わせて、食事療法や薬物療法などをして、できるだけ肝臓の機能を保つようにします。

また、肉体労働やアルコールを禁止し、肝臓を悪化させる因子を取り除くことも大切です。

 

4.胆嚢炎

寒気、ふるえ、吐き気、発熱、みぞおちや右上腹部の痛みなどの症状が現れます。

急性症状が消えたあともしばしば同様の症状を繰り返し、慢性に移行することもあります。

 

<急性胆嚢炎>

【原因】

胆石症※や胆嚢に細菌が感染することで起こる胆嚢の炎症です。

※胆石症とは、胆汁の通り道である胆道に結石ができる病気のこと。

ほとんどの場合は、胆石が胆嚢管などに詰まることで、胆嚢と胆嚢管との間で胆汁の交通が失われた状態になっています。

 

 

そして、胆嚢には感染した胆汁が貯まり、腫大しています。

胆石がなくても、感染することはあります。

 

【症状】

急に悪寒、吐き気が現れて、高熱が出ます。

みぞおちや右腹部に激痛があり、また黄疸が現れることもあります。

症状が悪化すると、胆嚢穿孔(たんのうせんこう)、胆汁性腹膜炎を起こす可能性があります。

 

【治療】

炎症が強い期間は、抗生物質を投与する薬物療法を中心に行います。

胆石症を合併していれば、外科的な手術が必要となります。

 

<慢性胆嚢炎>

【原因】

原因は、結石によるものが大半を占めています。

急性胆嚢炎から移行した状態です。

急性胆嚢炎と同じ原因で繰り返すことがあります。

 

【症状】

急性胆嚢炎のように強いものではありませんが、右腹部の痛みや圧迫感があり、吐き気、下痢、便秘などの症状も現れます。

 

【治療】

急性炎症を抑えるための薬物治療もありますが、効果はほとんどありません。

再発を予防するためには、手術が必要となります。

 

5.腎結石

左右どちらかの上腹部、わき腹、背中、腰に強い痛みを感じ、血尿、冷や汗、嘔吐などをともなうこともあります。

 

【原因】

はっきりした原因は不明であり、腎盂(じんう)や腎杯(じんぱい)にカルシウムやリン、尿酸などの結石ができるものです。

 

【症状】

背中や腹に刺すような痛みから鈍痛を訴え、身体を動かすと余計に痛みます。

血尿がでる場合もあります。

尿管に結石がつまってしまうと、水腎症になります。

なお、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石を総称して、尿路結石といいます。

 

【治療】

結石が小さい場合(5ミリ以下)は、自然に尿管を通って排出されることが多いので、点滴や飲水などで大量の水分を摂取して、尿量を多くし、尿管から排出させます。

大きい結石の場合は、体外から衝撃を与えて破壊して排出します。

それが無理ならば手術をします。

 

6.尿道結石

左右どちらかの上腹部、わき腹、腰、下腹部などに強い痛みを感じ、血尿、頻尿、残尿感などが現れることもあります。

 

【原因】

ほとんどは膀胱結石が尿道に下りてきたものですが、尿道で結石ができることもあります。

男性は、女性よりも尿道が長いので、この病気は男性の発症がほとんどです。

 

【症状】

排尿中に急に尿が出なくなって、尿道に痛みがでます。

男性の場合、痛みは性器の先端まで走りますが、結石が膀胱に近いところにある場合は、肛門の近くまで痛みます。

【治療】

自然に排出しない場合は、治療が必要です。

結石の大きさや形、結石がある部位によって、治療方法が異なります。

続いて、左上腹部に痛みを生じる病気について解説します。

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左上腹部が痛む

左上腹部に痛みがでる病気としては、次の4つの疾患が挙げられます。

  1. 膵臓癌
  2. 直腸癌
  3. 腎結石
  4. 尿道結石

腎結石や尿道結石は、左右どちらかの上腹部に痛みが現れます。

では、それぞれの病気の原因、症状、治療法について順番に解説します。

1.膵臓癌

腹痛、黄疸、腰痛、全身倦怠感、嘔吐、体重減少などが見られます。

膵臓は、胃の後ろにあり、紡錘型のような形をしています。

 

膵臓で、十二指腸側の太くなっているところは膵頭部と呼ばれ、先が細くなっているしっぽのような部分は膵尾部と呼ばれています。

 

膵臓癌のほとんどは、膵頭部に発生します。

【原因】

膵臓癌の原因としては、喫煙、糖分の多い炭酸飲料、飲酒、肉類や脂肪分の摂り過ぎ、ストレス、膵臓の疾患などが挙げられます。

 

【症状】

腹痛、体重減少、黄疸などが特徴的な症状ですが、その他にも悪寒や嘔吐、下痢、便秘などの症状が現れます。

また、膵頭部と膵尾部など、癌が発生した部分で症状が異なります。

膵頭部の場合は、黄疸がよくおこり、膵尾部の場合は腹痛や体重減少がよくおこります。

 

【治療】

手術療法による治療が中心となります。

膵頭部の癌なら膵頭部や十二指腸を含めて切除し、膵尾部なら尾部切除が行われます。

また、化学療法や放射線療法も行います。

 

2.直腸癌

黒色便、鮮血の付着した便が見られ、下痢と便秘を繰り返します。

便通が不規則になり、腹痛、発熱なども見られます。

ただし、早期では全く症状がない場合がほとんどです。

 

直腸癌は、大腸のうち直腸にできる癌です。

 

【原因】

直腸癌が主な原因は、食の欧米化により、動物性脂肪の摂取量が増えたことが主な要因と考えられています。

 

【症状】

早期では、ほとんど自覚症状はありませんが、進行すると便が黒色になったり、出血があります。

痔の出血と間違われやすいのですが、痔の場合は便の表面だけに血が付いていることが多く、大腸癌では便に血が含まれる状態が多くあります。

また、最初は下痢が続きますが、やがて下痢と便秘を交互に繰り返します。

さらに、腸が腫瘍で狭くなってくると、便そのものが細くなったり、便秘したりします。

貧血、体重減少、腹部膨満などが起こることもあります。

 

【治療】

癌の部位や進行の程度で異なりますが、早期であれば内視鏡を使って切除できます。

しかし、粘膜下組織に浸潤している場合は、病変があるところの腸管を部分切除します。

進行している場合は、周囲の組織や他の臓器に転移しているかどうかで治療法が違ってきます。

基本的には、手術療法を行い、さらに化学療法、免疫療法、放射線療法などを組み合わせて行います。

また、人工肛門を使用することがありますが、これは大腸癌の中でも、肛門から10センチほどのところまでにできた進行癌の場合です。

 

ここで、腎結石や尿道結石については、すでに右上腹部のところで解説しているので、省略します。

続いて、みぞおちあたりに痛みがでる病気について説明します。

みぞおちが痛む

上腹部の中央付近(みぞおち)が痛む場合、疑われる病気については、次の記事にて説明しています。

みぞおちが痛む原因と痛みに隠された13個の病気を解説

まとめ

本記事では、家庭の医学などの医療関連の書籍をもとに、上腹部に痛みが現れる病気についてまとめました。

みぞおち付近の痛みは、重病のサインである可能性も考えられるので、できるだけ早く病院で診てもらうことをおすすめします。

くれぐれも自己判断で病名を決めつけることのないようご注意ください。

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