教師、バスガイド、インストラクターなど声を多用する職業の人は、よく声枯れを起こすことがあります。

また、カラオケで歌いすぎるなど、声を濫用したときにも声がしわがれたり、声がかすれることがあります。

たいていは、一時的なものですが、声がれが長く続く場合は、咽喉頭に慢性的な炎症が生じていたり、声帯に腫瘤ができていたりすることもあります。

 

今回は、声枯れが治らない原因についてまとめておきます。

声が枯れる、かすれる原因

声が枯れたり、かすれたりするのには、次のような原因が考えられます。

 

  1. かぜ症候群
  2. 急性喉頭炎
  3. 慢性喉頭炎
  4. 急性咽頭炎
  5. 慢性咽頭炎
  6. カラオケポリープ
  7. 声帯ポリープ
  8. ポリープ様声帯
  9. 喉頭乳頭腫
  10. 声帯結節
  11. 仮声帯肥大
  12. 喉頭結核
  13. 反回神経麻痺
  14. 甲状腺がん
  15. 喉頭癌
  16. 声帯萎縮
  17. その他

では、各項目について順番に説明します。

 

なお、以下の文章で、黄色背景色の部分は、病気の症状を示しています。

自分の症状がどの病気に該当するのか早く知りたい方は、黄色背景色の箇所に注目して、記事を読み進めてください。

 

かぜ症候群

かぜ症候群は、上気道(鼻、喉、喉頭)や下気道(気管、気管支)の粘膜における急性の炎症疾患の総称です。

原因としては、ウィルスが全体の8割ほどを占め、残りが連鎖球菌などの細菌やマイコプラズマ、クラミジアが占めています。

一般的には、症状は2~3日でピークとなり、1~2週間で軽快します。

 

かぜ症候群は、普通感冒とインフルエンザに大きく分けられます。

普通感冒では、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振などの症状が見られます。

普通感冒では、後述する急性喉頭炎を起こすことがあり、声帯の粘膜に炎症が起こることで、声がれが生じます。

 

急性喉頭炎

急性の炎症が喉頭に生じるもので、多くはかぜ症候群の部分症状で起こります。

声帯に炎症が生じると急性声帯炎といい、声帯より上部(急性喉頭蓋炎)、声帯より下部(急性声門下喉頭炎)に生じることもあります。

 

急性声帯炎の場合は、声がれ、喉の乾燥感、喉の痛み、咳などが起こります。

急性喉頭蓋炎では、ふくみ声や嚥下痛などをともないます。

 

 

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慢性喉頭炎

咽頭粘膜の軽い炎症が長期間続いている状態です。

声がかれる、咳、痰、喉の異物感・不快感などが起こります。 

 

 

 

急性咽頭炎

急性咽頭炎は、急性炎症が咽頭粘膜全体に広がり、咽頭粘膜が赤くなり、腫れが現れる病気です。

症状としては、咽頭粘膜全体が赤くなり、リンパ濾胞(小リンパ球の集まる部位)の腫れがみられ、咽頭痛が起こります。特に、咽頭後壁にある咽頭側索の炎症が強い場合は、ものを飲み込むときに耳の痛みを伴います。

声がれが起こることもあります。

 

 

 

慢性咽頭炎

咽頭粘膜の炎症、赤らみ、腫れなどの症状が慢性化して続くものです。

 

比較的軽い咽頭痛、喉の違和感、痰がからむなどの症状が長く続きます。

声が枯れることもあります。

 

カラオケポリープ

カラオケで歌いすぎて声帯にポリープ(こぶのような腫瘤)ができたものをカラオケポリープといいます。

カラオケポリープは、次のような誘因で起こります。

  • 大声で連続して歌う
  • 他人が歌っているときに話し声が通常より大きくなる
  • 高い声を出すために、自分の声域を超えて歌う
  • 振りをつけて歌う
  • タバコの煙が充満した部屋で歌う
    etc

 

声帯は、大きな声ではより強く、高い声ではより高頻度に振動します。

また体を動かすと、その分振動します。

 

声帯が振動を受けた際には、潤いが必要です。

声帯が乾燥していると刺激によって傷みやすくなります。

喫煙、連続して歌うこと、室内の乾燥などは、声帯を乾燥させ、これらがポリープの形成に影響していると考えられています。

 

 

声帯ポリープ

声帯にこぶのような腫瘤が生じた状態を声帯ポリープといい、発声の障害になります。

この病気になるのは、成人で、男性がやや多いです。

 

原因

無理な発声が一番の原因となります。

歌手、学校の先生、アナウンサーなどの声を多く使う人がよく発症します。

風邪で喉に炎症があるのに、無理に発声した場合などでも生じます。

 

症状

嗄声(声がれ)が主症状であり、喉に違和感をともなうこともあります。

また、歌を歌いにくくなったり、会話するだけで疲れを感じるなどの症状が起こる人もいます。

 

治療

できて間もないポリープは、声を使わずに声帯を休めたり、消炎薬の吸入や内服で消えることもあります。

古くなって硬くなった場合は、外科的な切除が必要です。

 

予防

普段から声の状態に注意を払い、声帯を大事にすることが大切です。

中年以降の男性で、喫煙者は、嗄声が続く場合は癌との区別も念頭に入れて、耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。

 

ポリープ様声帯

ポリープ様声帯は、声帯が全長にわたってむくみ、ポリープのように膨らんだ状態をさします。

 

原因

ポリープ様声帯は、声帯粘膜の血液循環障害により生じます。

全例が喫煙者であることから、喫煙が原因と考えられています。

その他、声の濫用や加齢も指摘されています。

 

症状

声がれや声の低音化が起こります。

重症になると、呼吸困難をきたすこともあります。

 

治療

軽度の場合は、禁煙や消炎薬などの保存的治療が有効です。

中等度以上の場合は、手術で切除します。

 

予防

禁煙は、治療の基本ですが、手術後の再発防止にも有効です。

 

 

喉頭乳頭腫

喉頭乳頭腫は、喉頭に生じる良性腫瘍です。

声が枯れたり、腫瘍が気道を塞いで呼吸困難をきたすことがあります。

治療では、手術による切除が基本となります。

 

 

声帯結節

声帯結節は、喉頭の中の声帯に結節と呼ばれるペンだこのようなものが生じる疾患です。

若い女性や学童期の男児によく見られます。

起こりやすい職業は、歌手、ナレーター、ジャズダンスやエアロビクスのインストラクター、保育士などです。

 

原因

声の乱暴な使いすぎが原因であり、その状態が長期間にわたって続いている場合に発症しやすくなります。

 

症状

嗄声(声がれ)と声域の幅の減少が主な症状です。

 

治療

副腎皮質ホルモン剤を用いることがあります。

その他、結節を切除する手術が行われることもあります。

 

予防

声を多用する職業の人は、仕事以外の場では、声を出す頻度を抑えたり、大きな声を控えたり、こまめに水分をとるといったことに注意しましょう。

 

 

仮声帯肥大

大声や高い声を出したり、日常的に喉を酷使する人に見られる病気で、仮声帯が炎症を起こして、腫れるものです。

声がかすれて、喉に異物感を覚えます。

 

 

 

喉頭結核

喉頭結核は、肺結核に続いて、痰に含まれる結核菌が喉に感染して引き起こされる感染症です。

声がれ、飲み込むときの喉の痛み、息苦しさ、咳、血痰などの症状が見られます。

治療では、複数の抗結核薬を半年程度服用します。

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反回神経麻痺

声帯を動かす筋肉を支配している神経が、何らかの原因によって麻痺を起こし、声帯が動かなくなる病気です。

左右の声帯のうちい、どちらか片方の麻痺によって、声門が完全に閉鎖しないため、音声障害や嚥下障害が起こります。

 

原因

甲状腺がん、食道癌、癌のリンパ節転移などの病気が、神経に広がって麻痺が生じたり、外傷による麻痺もあります。

原因が特定できないものも少なくありません。

 

症状

嗄声、飲水などの一部が気管に流入してむせるなどの症状が現れます。

 

治療

手術が基本となります。

 

 

 

甲状腺がん

甲状腺には、乳頭がん、濾胞がん、未分化がん、髄様がん、悪性リンパ腫といった癌が発生することがあります。
くびのしこりで気づくことが多いです。

無症状であったとしても、最近では、人間ドックや他の病気で検査を受けたときに、偶然発見されることがしばしばあります。

未分化がんや悪性リンパ腫の場合は、腫瘤が急激に大きなることにともなって、呼吸困難、嚥下困難などの症状も現れてきます。

声がれが起こることもあります。

 

 

喉頭癌

喉頭癌には、声門がん、声門上がん、声門下がんの3種類があります。

 

声門がん

まず、声門がんでは、声がれ、血痰、呼吸が苦しいなどの症状が現れます。

頸部の腫れとして現れるリンパ節への転移は比較的少ないのが特徴です。

 

声門上がん

喉の異物感、固形物を飲み込んだときの痛みなどの症状が現れます。

また、他の部位よりも比較的早期から首のリンパ節が腫れて気づくことがあります。

進行して、癌が声帯へおよぶと、声がれや呼吸苦が現れます。

 

声門下がん

進行するまで症状が現れないことが多いです。

進行すると、声がれや呼吸苦が現れます。

 

 

声帯萎縮

声帯萎縮は、左右の声帯がうまく閉じられずに隙間ができてしまうもので、嗄声、発声が弱い、声が出しにくいなどの症状が現れます。

声帯の炎症や加齢などが誘因すると言われています。

 

その他

上記で説明した病気以外にも、声が枯れたり、かすれたりするのは、次のような要因が考えられます。

  • アレルギー
  • 寒冷刺激
  • 声の濫用
  • 乾燥やホコリの多い環境で生活している、または仕事をしている
  • 口呼吸
  • 喫煙
  • 咳払いの癖
  • 就寝時の胃液の逆流
  • 粉っぽいものや刺激物を多く摂っている
  • ストレス
    etc

 

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声枯れが治らない原因

さて、前項では、声が枯れたり、かすれたりする原因について説明しました。

咽頭や喉頭(声帯を含む)に生じる急性の炎症などが原因であれば、嗄声(声がれ)は一時的な症状です。

例えば、かぜ症候群による急性咽頭炎や急性喉頭炎であれば、一般的に1~2週間ほどで軽快します。

 

しかし、声がれが長く続く場合は、咽頭や喉頭の炎症が慢性化していたり、声帯にポリープや結節などが生じていたり、悪性腫瘍が原因の可能性もあります。

 

声枯れの対処法、治療法、予防法

声がれは、一時的なものであれば、声をできるだけ出さないようにして声帯を休めたり、こまめに水分補給するなど喉の保湿に留意することが基本となります。

また、飲酒・喫煙などの生活習慣を改めることも大切です。

 

病気が原因の場合は、上記の点に加えて、声の衛生指導、抗生物質や消炎薬などの薬物療法、手術療法などにより治療することとなります。

 

なお、健康な声の維持、声がれの予防や再発防止においては、以下の点が重要です。

  • 長話をしない
  • 大声で話さない
  • ささやき声、力み声、高い声、低い声を避ける
  • 咳払いを最小限にとどめる
  • 喉を乾燥させない
  • ほこりっぽい場所を避ける
  • 胃液の逆流防止のために、就寝前3時間は飲食をやめる
  • 飲食では粉っぽいものや刺激物を避ける
  • 睡眠や休息を充分にとる

 

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