「首の後ろに硬いグリグリがある」

「ふと首の後ろを触ったら、小さなしこりのようなものがあり、押すと痛い」

「首の後ろのしこりを押しても痛くないが、しこりが複数に増えた」

「首の後ろのしこりが以前より、少し大きくなった気がする」

「首の後ろのしこりは何科へ行けばよいのか分からず困っている」

 

首の後ろに急にしこりができて不安に思ってはいませんか?

 

首の後ろにしこりができたり、腫れたりするのは、リンパ節の炎症、皮膚にできた良性の腫瘍、単なる筋肉のこりなどが原因と考えられます。

しかし、まれに悪性リンパ腫などが原因のこともあるので、早めに医療機関を受診したいところです。

 

今回は、首の後ろにしこりができる原因や、しこりができた人の体験談などについてまとめておきます。

首の後ろにしこりができる原因

首の後ろにしこりができるのは、次のような原因が考えられます。

  1. リンパ節の炎症
  2. 脂肪腫
  3. 粉瘤
  4. 筋肉のこり
  5. 悪性リンパ腫
  6. 悪性腫瘍の転移

 

では、順番に説明します。

 

 

リンパ節の炎症

首の後ろにしこりができるのは、まずリンパ節の腫れが考えられます。

頸部には、後頭リンパ節、耳介後リンパ節、浅頸リンパ節、上深頸リンパ節、下深頸リンパ節など様々なリンパ節が存在します。

通常は、これらのリンパ節は触っても分からないほど小さいものですが、何らかの理由でリンパ節が腫れると、手で押さえたときに、しこり(グリグリ)として認識できます。

 

そして、リンパ節が急に腫れた場合は、急性リンパ節炎が疑われます。

 

急性リンパ節炎

細菌の感染などによってリンパ管に炎症が起こり、リンパ管とつながっているリンパ節に急性の炎症が起こる病気です。

 

原因

急性リンパ節炎で最も多いのは、ウィルスや細菌による感染です。

リンパ節は体のいろいろな部位に存在していますが、急性リンパ節炎が起こりやすいのは、頸部、腋窩、鼠径部などにあるリンパ節です。

 

症状

感染したところの近くのリンパ節が腫れて硬くなり、手で押さえるとグリグリして痛みがあります。

喉の感染なら、首のところのリンパ節が腫れます。

なお、リンパ節炎が悪化すると、化膿することがあります。

また、炎症が周囲の組織に及び、リンパ節周囲炎になることもあります。

 

治療

原因となっている部位の治療が優先されますが、炎症が治るまで全身の安静を保つようにし、腫れたリンパ節は冷やします。

抗生物質の使用が必要なことが多いので、医師の診察を受ける必要があります。

ときには、リンパ節を切開して膿を出さなければならないこともあり、そのときは外科への受診が必要になります。

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脂肪腫

首の後ろのしこりは、皮膚にできる良性腫瘍の可能性もあります。

 

脂肪腫は、脂肪組織の細胞が異常に増殖したもので、皮膚面が全体的に盛り上がって、触れると軟らかいこぶができるものです。

脂肪がある部分ならどこにでも生じる、良性の腫瘍です。

脂肪腫ができる原因は、よくわかっていません。

 

放っておいても問題はありませんが、大きいものは見た目の問題から、局所麻酔をして、腫瘍を取り出す手術により切除することが可能です。

腫瘍が大きい場合や筋肉の中など深い場所にある場合は、全身麻酔が必要なこともあります。

 

皮膚を構成する表皮や結合組織など多数の成分のいずれかが異常増殖すると、腫瘍ができます。

皮膚腫瘍は、表面で隆起して大きくなるものと、皮膚の中や下で大きくなるものがあります。

皮膚の中や下で大きくなるものは、触れるとしこりとして感じられます。

 

皮膚腫瘍には良性と悪性があります。

良性腫瘍は悪性腫瘍のように、腫瘍細胞が無秩序に増殖せず、ある部位だけで増え、周囲の皮膚組織との境が比較的明確であるのが特徴です。

悪性腫瘍は、周囲の皮膚組織を破壊しながら広がっていくので、境目がはっきりせず、転移することもあります。

良性腫瘍では転移は起こりません。

 

粉瘤

 

脂肪腫と同様に、皮膚にできる良性腫瘍として、粉瘤があります。

粉瘤は、表皮、あるいは毛包の細胞が増殖してできる嚢腫(袋)です。

大豆程度のしこりから、長年放置された拳くらいの大きさになるものまで様々です。

 

粉瘤は、皮膚内にしこりを感じて気づくことが多いようです。

袋の内部にはやわらかくなった角質が溜まっています。

皮膚の表面に広がった毛穴が見えることがあり、外側とつながっていることがあります。

 

このような場合は、悪臭をともなう白い膿のような内容物が出てくることがあります。

袋が皮膚の中で破れると、強い炎症を起こして、周囲が紅色に腫れて痛みを伴うようになります。

そのままにしておくと、表面の穴があいて、ドロドロした粥状の内容物が出てくることがあります。

 

粉瘤は、局所麻酔による手術で治療します。

綺麗なしこりの場合は、袋を周囲から剥離させて、皮膚の中から取り出します。

この場合は、縫い合わせることができるので、傷を早く治すことができます。

 

皮膚の中で袋が破れて、周囲に炎症が広がっている場合は、腫れている箇所をメスで切開して、内容物を取り出し、中をよく洗います。

このようなときは、縫い合わせることができないので、炎症が治まって傷が閉じるのを待ちます。

また、腫れている場合は、細菌感染をともなっていることが多く、抗生物質を内服します。

 

巨大になると、入院や全身麻酔が必要な手術になるケースもあり、炎症が起こると治癒に時間がかかります。

そのため、小さいうちに切除することが大切です。

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筋肉のこり

首の後ろには、前頭直筋、外側頭直筋(頭関節の運動に関わる小さな筋肉)、頭長筋、頸長筋(椎体の前面を走る細長い筋肉)、前斜角筋(頸を側方に曲げたり、回したりする際に働く筋肉)、中斜角筋、後斜角筋など様々な筋肉が取り巻いています。

 

以下のような原因で頸部の筋肉がこると、硬くなってしこりのように感じられることがあります。

  • ストレスによる筋肉の緊張
  • 肉体的・精神的疲れ
  • 眼精疲労
  • 長時間同じ姿勢を維持すること
  • 運動不足による血行不良
  • 自律神経の乱れ
  • 寒さによる筋肉の緊張

 

首こりでは、筋肉のこりの他に、筋肉の痛み、圧迫感、違和感なども伴うことがあります。

 

首こりを予防するには、次の方法が有効です。

  • 首や肩を冷やさない
  • 仕事では1時間に1回は席を立ち、ストレッチなどをして筋肉の緊張を緩める

 

 

悪性リンパ腫

首の後ろのしこりは、悪性リンパ腫の可能性もあります。

 

リンパ組織は、感染などから体を守る重要な働きをしています。

悪性リンパ腫は、このリンパ組織を構成するリンパ節、脾臓、扁桃などのB細胞やT細胞が悪性化して、無制限に増殖し、腫瘤を形成する病気です。

悪性リンパ腫は、白血病とならぶ代表的な血液の癌です。

 

原因

原因はまだ分かっていませんが、一部のものはウィルスの感染が原因と考えられています。

また、免疫不全や遺伝子の異常も深く関わっているとされています。

日本では、リンパ系悪性腫瘍による死亡率は、10万人に対して17人ほどの割合であり、男女比は3:2です。

 

症状

体の表面近くのリンパ節が腫れてきて、いわゆるグリグリができますが、押しても痛くなく、周囲に傷口や化膿も見あたりません。

グリグリの発生しやすい部位は、首、脇の下、脚の付け根などです。

病気が進行すると、何箇所ものリンパ節が腫れてきて、発熱、体重減少、寝汗などの症状が見られます。

そして、体の奥の、外からは触れることができないリンパ節が腫れたり、扁桃や脾臓が腫れてくることもあります。

 

治療

進行していない場合は、放射線療法が主体となります。

病気が全身に広がっている場合は、抗腫瘍薬を用いた多剤併用化学療法が行われます。

最近では、モノクローナル抗体療法なるものが導入され、一部の悪性リンパ腫には高い治療効果が見られるとのことです。

また、場合によっては骨髄移植が行われることもあります。

 

 

悪性腫瘍の転移

癌の中には、頸部リンパ節(顎の下や首)に転移しやすいものがあり、癌が転移を起こすことで、首にしこりを生じることがあります。

例えば、次のような種類の癌は、比較的頸部リンパ節への転移が起こりやすいと言われています。

  1. 舌癌
  2. 咽頭癌
  3. 喉頭癌
  4. 肺癌

では、これらの癌の症状について、簡単に説明しておきます。

 

舌癌

舌癌は、舌の測縁に発生しやすく、粘膜にただれや潰瘍を形成することが多いです。

初期には粘膜に白色の斑点や薄い膜状の病変、紅斑、びらんなどが見られます。

通常、痛みはありませんが、しょうゆや香辛料などの刺激で痛むこともあります。

進行すると、舌表面に乳頭状の腫瘤(こぶのような腫れ)が見られたり、舌の内部にしこりが現れます。

 

咽頭癌

咽頭癌には、上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌の3つがあります。

 

上咽頭癌

比較的早期から、頸部リンパ節に転移しやすく、頸部の腫瘤が先に現れることも少なくありません。

 

中咽頭癌

中咽頭はリンパ組織が豊富なので、中咽頭癌はリンパ節転移を起こしやすいです。

頸部リンパ節転移を起こすと、首にしこりを触れますが、必ずしも痛いとは限りません。

癌が小さいうちは、何の症状もありません。

進行すると、喉の違和感、異常感、痛み、飲み込みにくさ、血痰、いびき、呼吸困難などがみられます。

 

 

下咽頭癌

高齢男性に多く発症し、首のリンパ節に転移しやすい特徴があります。

病気の進行とともに、声がれ、息苦しさ、喉の異物感、飲み込みにくさ、耳痛などが現れます。

 

 

 

喉頭癌

喉頭癌には、声門がん、声門上がん、声門下がんの3種類があります。

 

声門がん

まず、声門がんでは、声がれ、血痰、呼吸が苦しいなどの症状が現れます。

頸部の腫れとして現れるリンパ節への転移は比較的少ないのが特徴です。

 

声門上がん

喉の異物感、固形物を飲み込んだときの痛みなどの症状が現れます。

また、他の部位よりも比較的早期から首のリンパ節が腫れて気づくことがあります。

進行して、癌が声帯へおよぶと、声がれや呼吸苦が現れます。

 

声門下がん

進行するまで症状が現れないことが多いです。

進行すると、声がれや呼吸苦が現れます。

 

 

 

肺癌

肺癌には様々な種類がありますが、小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別されます。

中でも小細胞肺がんは、男性に多い肺癌であり、非小細胞肺がんに比べて増殖が速く、リンパ節へ早期に転移しやすい悪性度の高い癌です。

 

肺癌では、長引く咳、痰、血痰、息切れ、声のかすれ、胸背部痛などの症状がよく見られます。

 

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病院は何科?

首の後ろにしこりができた場合は、様々な診療科が入っている総合病院へ行くのがよいでしょう。

そして、総合病院へ行く前に、受付に電話して、首の後ろにしこりができたことを訴え、何科を受診するのが適切か聞いてみてください。

 

というのも、前述したように、首のしこりの原因は、リンパ節の炎症、良性の皮膚疾患、首こり、悪性リンパ腫など様々な理由が考えられます。

リンパ節の腫れは耳鼻咽喉科、皮膚疾患は皮膚科、悪性リンパ腫は血液内科というように、原因によって受診すべき診療科は異なります。

しかし、首のしこりの原因が上記のいずれに該当するのかは、素人では判断がつきません。

 

病院の受付に電話して、症状を伝えることで、自分が最初に受診すべき適切な診療科を教えてもらえます。

以上から、首のしこりが気になる方は、まずは近くの総合病院に電話で相談してください。

 

まとめ

首の後ろにしこりができるのは、次のような原因が考えられます。

  1. リンパ節の炎症
  2. 脂肪腫
  3. 粉瘤
  4. 筋肉のこり
  5. 悪性リンパ腫
  6. 悪性腫瘍の転移

 

首に急にしこりができると、悪性の腫瘍ではないかと心配になるものです。

しかし、首の後ろにしこりができて病院へ行った人の体験談を見ると、風邪によるリンパ節炎と診断されたケースも多いようなので、恐れず近くの医療機関を受診してみてください。

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