慢性関節リウマチ治療剤のメトトレキサートの副作用や作用機序などについてまとめておきます。

メトトレキサートの副作用

メトトレキサートには、以下のような副作用があります。

吐き気、発疹、かゆみ、腹痛、下痢、口内炎、舌炎、紅斑、脱毛、頭痛、意識障害、咳、倦怠感、動悸、腹部圧迫感、血尿など

 

メトトレキサートの添付文書によると、上記の副作用の発現率について、以下のように記載されています。

総症例4,038例中、副作用の報告されたものは810例(20.1%)であった。

その主なものは、ALT(GPT)、AST(GOT)、AL-Pの上昇等の肝機能障害(7.2%)、口内炎(2.2%)、倦怠感(1.3%)、嘔気(1.1%)、発疹(1.0%)であった。

出典:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00045664.pdf#search=%27%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%88+%E6%B7%BB%E4%BB%98%E6%96%87%E6%9B%B8%27

 

よって、副作用では肝機能障害や口内炎などが起こりやすいと考えられます。

 

メトトレキサートの重大な副作用

メトトレキサートには、次のような重大な副作用が起こることがあります。

肝硬変、間質性肺炎、肝機能障害、肝不全、急性腎不全、ギランバレー症候群、けいれん、劇症肝炎、血小板減少症、骨髄抑制、骨粗鬆症、再生不良性貧血、ショック、アナフィラキシー様症状、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症、結核、膵炎、肺線維症、胸水

 

ここで、上記の副作用の詳細については、以下の記事にて説明しています。

薬の副作用まとめ

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メトトレキサートの作用機序

メトトレキサートは、免疫の働きを抑制する作用がある関節リウマチの薬です。

関節の破壊をくい止め、症状の進行を遅らせます。

 

関節リウマチは自己免疫疾患の一つであり、免疫機能が誤って自分自身に攻撃することで、関節の滑膜などに炎症が引き起こされます。

よって、免疫の働きを抑えることができれば、リウマチの症状悪化を阻止できます。

免疫細胞が新しく作られるためには、その設計図となるDNAが必要であり、DNAを合成するには核酸という原料が必要です。

そして、核酸を合成するには葉酸という物質が必要であり、メトトレキサートは葉酸の活性化を阻害する働きがあります。

詳しくは、葉酸が活性化する過程において、ジヒドロ葉酸レダクターゼという酵素の働きを抑制します。

 

メトトレキサートは、核酸の合成を阻止し、免疫系の働きを弱めることで、リウマチの症状の進行を遅らせます。

 

メトトレキサートの効果

メトトレキサートの効果について、添付文書では次のように説明されています。

国内延べ46施設で実施された150例の関節リウマチ患者に対する臨床試験成績は、最終全般改善度の改善率(著明改善と中等度改善)が 6 mg/週投与群で60.4%(32/53)であった。

出典:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00045664.pdf#search=%27%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%88+%E6%B7%BB%E4%BB%98%E6%96%87%E6%9B%B8%27

 

リウマチの改善効果は特段に大きいというわけではありませんが、まずまずといったところでしょう。

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使用上の注意

メトトレキサートを使用する際の注意点についてまとめておきます。

使用してはいけない人

以下に該当する人は、メトトレキサートを使用できません。

  • メトトレキサートで過敏症を起こしたことがある人
  • 骨髄抑制、慢性肝疾患、腎機能障害のある人
  • 活動性結核のある人
  • 妊婦、授乳婦

 

使用に注意が必要な人

以下に該当する人は、メトトレキサートの使用に際して注意が必要です。

  • 肺線維症の既往歴、水ぼうそうのある人
  • 感染症を合併している人
  • 非ステロイド性抗炎症薬を使用している人
  • 結核にかかったことがある人
  • アルコールを常飲している人

 

併用してはいけない薬

併用してはいけない薬は、特にありません。

ただし、併用する薬があるときは、念のために処方医に相談してください。

 

その他の注意点

重篤な副作用を招くおそれがあるので、指示された用法、用量を厳守するとともに、発熱、咳、呼吸困難、口内炎、倦怠感などの異常が現れた場合はすぐに医師に連絡しましょう。

 

メトトレキサートの薬価

メトトレキサートは、沢井、サンド、田辺三菱、東和など複数の製薬メーカーが同じ名前の商品を販売しており、薬価は以下の通りです。

(錠剤)

2mg 1錠 166.6円

(カプセル剤)

2mg 1カプセル 115.5~166.6円

 

まとめ

リウマチの治療は、以前はアスピリンや非ステロイド系解熱鎮痛剤(NSAID)、ステロイドが中心で、それで対応できないケースに抗リウマチ薬(DMARD)が用いられていました。

しかし、最近では骨関節破壊を抑制する効果が高いメトトレキサートのような抗リウマチ薬を当初から用いる治療法が主流です。

もちろん、炎症、痛みを抑えるためにNSAIDやステロイドなども必要ですが、関節破壊が進行しないようにコントロールするのはDMARDです。

ただ、DMARDは効果、使用量に個人差も大きいので、病状が安定しない時期は特に専門医による診断が大事です。

 

現在、日本で最も多く使用されているDMARDは、このメトトレキサートですが、10年前までは関節リウマチへの保険適応が認められていませんでした。

そのため、白血病などの治療薬として開発されていたメトトレキサート(抗がん薬として現在も使用されれています)が、適応外使用(健康保険の目的外使用)されてきました。

抗リウマチ薬としての適応を取得するために新たな臨床試験を行うなど開発費用が新たに必要となるため、同じ成分の薬品ですが、抗がん薬のメトトレキサートより抗リウマチ薬のメトトレキサートはかなり高い薬価が設定されています。

また、メトトレキサートは難病の乾癬の治療にも処方されることがありますが、保険の適応はありません。

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