喉を触ったときに、グリグリしたしこりのようなものができて痛いと、悪性の腫瘍ではないかと心配になります。

喉周辺のしこりは、たいていは良性腫瘍であり、放っておいても問題ない場合が多いのですが、なかには悪性のものやリンパや甲状腺の病気が潜んでいることもあります。

また、しこりを押して痛くない場合も、リンパ節炎や悪性腫瘍の疑いがあります。

 

今回は、喉のしこりの原因についてまとめておきます。

喉にしこりができる原因

喉にしこりができるのは、次のような原因が考えられます。

  1. リンパ系の病気
  2. 甲状腺の病気
  3. 脂肪腫
  4. 悪性腫瘍

 

では、順番に詳しく説明します。

 

リンパ系の病気

喉の周辺にしこりができるのは、まずリンパ節の腫れが考えられます。

頸部には、耳や顎の周囲、首の両側などにリンパ節があります。

例えば、耳下腺リンパ節、オトガイ下リンパ節、顎下リンパ節、浅頸リンパ節などが挙げられます。

 

通常は、これらのリンパ節は触っても分からないほど小さいものですが、何らかの理由でリンパ節が腫れると、手で押さえたときに、しこり(グリグリ)として認識できます。

そして、リンパ節が腫れる原因としては、次のような病気が挙げられます。

  • リンパ節炎
  • 伝染性単核球症
  • 悪性リンパ腫

それでは、これらの病気について詳しく見ていきましょう。

 

リンパ節炎

リンパ節炎には、急性のものと慢性のものがあります。

 

急性リンパ節炎

細菌の感染などによってリンパ管に炎症が起こり、リンパ管とつながっているリンパ節に急性の炎症が起こる病気です。

 

原因

急性リンパ節炎で最も多いのは、ウィルスや細菌による感染です。

リンパ節は体のいろいろな部位に存在していますが、急性リンパ節炎が起こりやすいのは、頸部、腋窩、鼠径部などにあるリンパ節です。

 

症状

感染したところの近くのリンパ節が腫れて硬くなり、手で押さえるとグリグリして痛みがあります。

喉の感染なら、首のところのリンパ節が腫れます。

なお、リンパ節炎が悪化すると、化膿することがあります。

また、炎症が周囲の組織に及び、リンパ節周囲炎になることもあります。

 

治療

細菌感染の場合は、抗生物質を投与します。

リンパ節の膿を取り除く場合は、切開手術をします。

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慢性リンパ節炎

リンパ節炎が長く続いている状態です。

病気が原因でリンパ節に弱い刺激が繰り返し加わっているために起こることもありますし、急性リンパ節炎が治りきらずに慢性化している場合もあります。

症状は、急性リンパ節炎と同じく、リンパ節が腫れて、押さえると痛みがあります。

慢性リンパ節炎では、原因となっている病気の治療を行ないます。

ただし、病気が治ってもリンパ節の腫れが長くひかないこともあります。

 

結核性リンパ節炎

慢性リンパ節炎のなかでも多く起こるのは、肺結核にともなって起こる結核性リンパ節炎です。

この結核性リンパ節炎では、1個または数個のリンパ節が腫れてきますが、痛みはありません。

腫れたリンパ節同士が互いに癒合し、塊になってきます。

リンパ系の癌である悪性リンパ腫とは、腫れ方が違うのですが、ときに識別が難しいこともあります。

 

 

伝染性単核球症

EBウィルスと呼ばれるウィルスが感染して起こる病気で、発熱、喉の痛み、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。

10歳以下でこのウィルスの感染を受けても、症状が現れることはありません。(不顕性感染)

成人の8割近くの人は、子供の頃に不顕性感染を受けて、このウィルスに対する免疫を獲得しているので、大人になってこのウィルスが感染しても発病することはありません。

よって、免疫を獲得していない人が、大人になってから感染を受けて発病することが多く、若い人に多いものです。

 

症状

感染してから発症するまでの潜伏期間は、35日ほどとされています。

発熱、倦怠感、喉の痛みなどで始まります。

熱は39~40度に達することもありますが、1~2週間ほどで下がってきます。

発病後、1週間前後でリンパ節が腫れて、全身に細かい発疹が現れてきます。

 

治療

安静にして、解熱鎮痛剤などを用いた対症療法を行うことで、4~5週間ほどで治ります。

 

悪性リンパ腫

リンパ組織は、感染などから体を守る重要な働きをしています。

悪性リンパ腫は、このリンパ組織を構成するリンパ節、脾臓、扁桃などのB細胞やT細胞が悪性化して、無制限に増殖し、腫瘤を形成する病気です。

悪性リンパ腫は、白血病とならぶ代表的な血液の癌です。

 

原因

原因はまだ分かっていませんが、一部のものはウィルスの感染が原因と考えられています。

また、免疫不全や遺伝子の異常も深く関わっているとされています。

日本では、リンパ系悪性腫瘍による死亡率は、10万人に対して17人ほどの割合であり、男女比は3:2です。

 

症状

体の表面近くのリンパ節が腫れてきて、いわゆるグリグリができますが、押しても痛くなく、周囲に傷口や化膿も見あたりません。

グリグリの発生しやすい部位は、首、脇の下、脚の付け根などです。

病気が進行すると、何箇所ものリンパ節が腫れてきて、発熱、体重減少、寝汗などの症状が見られます。

そして、体の奥の、外からは触れることができないリンパ節が腫れたり、扁桃や脾臓が腫れてくることもあります。

 

治療

進行していない場合は、放射線療法が主体となります。

病気が全身に広がっている場合は、抗腫瘍薬を用いた多剤併用化学療法が行われます。

最近では、モノクローナル抗体療法なるものが導入され、一部の悪性リンパ腫には高い治療効果が見られるとのことです。

また、場合によっては骨髄移植が行われることもあります。

 

 

甲状腺の病気

甲状腺は、ホルモンを分泌する内分泌腺のひとつで、喉仏(甲状軟骨)の下に位置しています。

喉仏周辺にしこり(グリグリ)ができるのは、以下のような甲状腺の病気が疑われます。

  • 甲状腺の良性腫瘍
  • 甲状腺の悪性腫瘍(甲状腺がん)

では、順番に説明します。

 

 

甲状腺の良性腫瘍

まず、甲状腺にしこりやできもの(腫瘍、結節)ができる病気結節性甲状腺腫といいます。

一方で、甲状腺が全体的に均一に腫れているものは、びまん性甲状腺腫といい、結節性甲状腺腫と区別されます。

今回のケースのように、甲状腺が部分的に腫れて、しこりのようなものができるのは、結節性甲状腺腫にあたります。

 

結節性甲状腺腫には、良性腫瘍と悪性腫瘍(癌)があり、良性腫瘍には濾胞(ろほう)腺腫、腺腫様甲状腺腫、嚢胞(のうほう)の3つがあります。

 

良性腫瘍の種類

濾胞(ろほう)腺腫

まず、濾胞腺腫は、甲状腺の濾胞上皮細胞と呼ばれる細胞によってできる腫瘍で、甲状腺の良性腫瘍のなかでも最も代表的な腫瘍と言われています。

 

腺腫様甲状腺腫

濾胞腺腫に似ているという意味から腺腫様と言われています。

腺腫様甲状腺腫の腫瘍は、複数個認められることが多く、甲状腺全体が大きく腫大しているように見えることから、腺腫様甲状腺腫と呼ばれてます。

 

嚢胞(のうほう)

嚢胞は、血液や滲出液などの液体成分がたまった袋状のものをいいます。

 

症状

腫瘍が小さいものでは、触診でも分からないことが多く、自覚症状もありません。

比較的大きいものでは、腫瘍を指で触れたり、甲状腺全体が大きく見えるものもあり、食べ物を飲み込む際に、ひっかかった感じや異物感を自覚することがあります。

 

治療

甲状腺の良性腫瘍は、大きい場合を除き、すぐに手術を行うことはありません。

定期的に超音波検査などで経過観察を行ない、腫瘍がだんだん大きくなる場合には、手術を勧められることもあります。

 

 

甲状腺の悪性腫瘍(甲状腺がん)

甲状腺には、乳頭がん、濾胞がん、未分化がん、髄様がん、悪性リンパ腫といった癌が発生することがあります。

乳頭がんと濾胞がんは、ホルモンを分泌する組織からできる腺癌です。

これらのなかでは、乳頭がんが圧倒的に多く、甲状腺がんの約85%を占めています。

 

乳頭がん、濾胞がん、髄様がんでは、30~59歳の人が全体の60%ほどを占めていますが、30歳未満の若年者での発症もまれではありません。

ただし、悪性度の高い未分化がんは、60歳以上の高齢者に多く見られます。

男女比は1:6で、圧倒的に女性に多い病気ですが、髄様がんと未分化がんでは、その差は小さいです。

 

症状

くびのしこりで気づくことが多いです。

無症状であったとしても、最近では、人間ドックや他の病気で検査を受けたときに、偶然発見されることがしばしばあります。

未分化がんや悪性リンパ腫の場合は、腫瘤が急激に大きなることにともなって、呼吸困難、嚥下困難などの症状も現れてきます。

 

治療

悪性腫瘍では、手術などの治療が行われます。

手術は全身麻酔のもとに行われ、2~3週間の入院が必要となります。

甲状腺全体を切除した場合は、術後に甲状腺ホルモン剤の内服が必要です。

 

 

 

 

脂肪腫

脂肪腫は、脂肪組織の細胞が異常に増殖したもので、皮膚面が全体的に盛り上がって、触れると軟らかいこぶができるものです。

脂肪がある部分ならどこにでも生じる、良性の腫瘍です。

放っておいても問題はありませんが、大きいものは見た目の問題から、局所麻酔をして、腫瘍を取り出す手術により切除することが可能です。

腫瘍が大きい場合や筋肉の中など深い場所にある場合は、全身麻酔が必要なこともあります。

 

なお、腫瘍が10cmを超えるような場合は、悪性腫瘍との識別が必要となります。

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悪性腫瘍

喉のしこりが硬くて、押してもしこりが動かないときは、以下のような悪性腫瘍(癌)が疑われます。

癌が頸部リンパ節に転移すると、首のリンパ節が硬く腫れることがあります。

 

  1. 舌癌
  2. 咽頭癌
  3. 喉頭癌
  4. 肺癌

 

では、それぞれの癌の転移について説明します。

 

 

舌癌

口腔癌のうち、最も発生頻度の高い癌です。

顎臼歯付近の舌の側縁に好発します。

粘膜付近にただれや潰瘍を形成することが多いのですが、初期では痛みはほとんどありません。

頸部リンパ節(顎の下や首)への転移が高頻度で起こります。

 

 

咽頭癌

咽頭癌には、上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌の3つがあります。

上咽頭癌

比較的早期から、頸部リンパ節に転移しやすく、頸部の腫瘤が先に現れることも少なくありません。

 

中咽頭癌

中咽頭はリンパ組織が豊富なので、中咽頭癌はリンパ節転移を起こしやすいです。

頸部リンパ節転移を起こすと、首にしこりを触れますが、必ずしも痛いとは限りません。

癌が小さいうちは、何の症状もありません。

進行すると、喉の違和感、異常感、痛み、飲み込みにくさ、血痰、いびき、呼吸困難などがみられます。

 

 

下咽頭癌

高齢男性に多く発症し、首のリンパ節に転移しやすい特徴があります。

病気の進行とともに、声がれ、息苦しさ、喉の異物感、飲み込みにくさ、耳痛などが現れます。

 

喉頭癌

喉頭癌には、声門がん、声門上がん、声門下がんの3種類があります。

 

声門がん

まず、声門がんでは、声がれ、血痰、呼吸が苦しいなどの症状が現れます。

頸部の腫れとして現れるリンパ節への転移は比較的少ないのが特徴です。

 

声門上がん

喉の異物感、固形物を飲み込んだときの痛みなどの症状が現れます。

また、他の部位よりも比較的早期から首のリンパ節が腫れて気づくことがあります。

進行して、癌が声帯へおよぶと、声がれや呼吸苦が現れます。

 

声門下がん

進行するまで症状が現れないことが多いです。

進行すると、声がれや呼吸苦が現れます。

 

肺癌

 

 

肺癌には様々な種類がありますが、小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別されます。

中でも小細胞肺がんは、男性に多い肺癌であり、非小細胞肺がんに比べて増殖が速く、リンパ節へ早期に転移しやすい悪性度の高い癌です。

 

まとめ

喉にしこりができるのは、次のような原因が考えられます。

  1. リンパ系の病気
  2. 甲状腺の病気
  3. 脂肪腫
  4. 悪性腫瘍

いずれにしても、素人が識別するのは困難なので、自己判断せず、医療機関を受診しましょう。

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