パキシル(成分名:パロキセチン塩酸塩水和物)は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と呼ばれる抗うつ剤です。

セロトニンの濃度を高めることで、脳神経の働きを改善し、抗うつ、抗不安、鎮静などの作用を発揮します。

パキシルは、抗不安作用が強く、副作用も比較的少ないのですが、薬をやめるときに離脱症状が現れやすいというデメリットがあります。

 

今回は、パキシルの副作用や効果などについて解説します。

パキシルの副作用

パキシルには、以下のような副作用があります。

傾眠、めまい、頭痛、吐き気、口渇、便秘、疲労、倦怠、ほてり、無力症、不眠、ふるえ、神経過敏、感情鈍麻、緊張亢進、知覚減退、離人症、食欲不振、腹痛、嘔吐、下痢、消化不良、動悸、発疹、かゆみ、発汗、排尿困難、性機能異常、視力異常など

 

パキシルの添付文書によると、上記の副作用の発現率について、以下のように記載されています。

うつ病 ・うつ状態患者、パニック障害患者、強迫性障害患者及び社会不安障害患者を対象とした使用成績調査及び特定使用成績調査において、6482例中1453例(22.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。

その主なものは、嘔気500例(7.7%)、傾眠389例(6.0%)、めまい107例(1.7%)、便秘95例(1.5%)であった。

出典:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00060425.pdf#search=%27%E3%83%91%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%AB+%E6%B7%BB%E4%BB%98%E6%96%87%E6%9B%B8%27

 

よって、嘔気、傾眠、めまい、便秘などの副作用が起こりやすいです。

 

パキシルの重大な副作用

パキシルには、次のような重大な副作用が起こることがあります。

悪性症候群、肝機能障害、けいれん、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、錯乱、セロトニン症候群、中毒性表皮壊死症、スティーブンス・ジョンソン症候群、多形紅斑、横紋筋融解症、汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、アナフィラキシー

 

ここで、上記の副作用の詳細については、以下の記事にて説明しています。

薬の副作用まとめ

 

パキシルの働き

セロトニンという脳内神経伝達物質の濃度を高めて脳神経の働きを改善し、抗うつ作用、抗不安作用、鎮静作用などを示します。

作用には持続性があり、口渇や尿が出にくくなるなどの副作用も少ないと言われています。

 

パキシルの効果

パキシルは、効果が強いわりに、副作用が比較的少ない抗うつ薬です。

抗不安作用が強く、うつ病、うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害など幅広い不安障害に適応が認められています。

不安や不眠などの症状に対しては、すぐに効果が現れることもありますが、一般的には安定した効果を得るには1~2週間ほどかかります。

パキシルの添付文書にも以下のように記載されています。

健康成人(23~43歳)に、パキシルCR錠25mg及びパキシル錠20mgをそれぞれ1日1回14日間反復経口投与し、各製剤の反復投与後における血漿中パロキセチンの薬物動態を比較した。

その結果、両製剤とも血漿中濃度は投与14日目までに定常状態に達した。

出典:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00060425.pdf#search=%27%E3%83%91%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%AB+%E6%B7%BB%E4%BB%98%E6%96%87%E6%9B%B8%27

 

よって、パキシルが安定した効果を発揮するには、およそ2週間はかかると考えられます。

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使用上の注意

パキシルを使用する際の注意点についてまとめておきます。

 

使用してはいけない人

以下に該当する人は、パキシルを使用できません。

  • 本剤で過敏症を起こしたことがある人
  • モノアミン酸化酵素阻害剤を使用中の人、または使用中止後2週間以内の人
  • ピモジドを服用している人

 

 

使用に注意が必要な人

以下に該当する人は、パキシルの使用に際して注意が必要です。

  • 躁病の既往歴、てんかんの既往歴、緑内障のある人
  • 抗精神病薬の投与を受けている人
  • 妊婦

 

服用方法

1日1回夕食後に服用します。

うつ病、うつ状態、社会不安障害、外傷後ストレス障害の人は、10~40mg、パニック障害の人は10~30mg、強迫性障害の人は20~50mgを服用します。

本剤は、十分な水(150ml以上)とともに服用し、噛み砕かないようにしてください。

噛み砕くと苦みがあり、舌のしびれ感が現れることがあります。

 

併用してはいけない薬

以下の薬と併用してはいけません。

  • モノアミン酸化酵素阻害剤:両剤の作用が強まることがあります。
  • ピモジド:QT延長、心室性不整脈などの心血管系の副作用が現れることがあります。

 

その他の注意点

その他の注意点について解説します。

自殺企図

18歳未満の大うつ病性障害の人が本剤を服用すると、特に自殺既遂や自殺企図のリスクが高まる可能性があるので、18歳未満の大うつ病性障害の人には、医師が必要と判断した場合にのみ使用されます。

うつ症状のある人は、自殺企図の恐れがあるので、家族など周りの人は医師と緊密に連絡を取り合うようにしてください。

 

急な中止

症状に合わせて服用量が調整されます。

服薬を急に中止すると、めまい、知覚障害、睡眠障害、激越、不安、吐き気、発汗などが現れることがあるので、指示された用法、用量を厳守しましょう。

 

危険な作業の中止

眠気やめまいなどが起こることがあるので、車の運転など危険な作業には注意しましょう。

 

飲酒

飲酒により、作用が増強する恐れがあります。

 

セイヨウオトギリソウ含有食品

一緒に摂取するとセロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱など)が現れる恐れがあるので、本剤服用中はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないでください。

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パキシルの離脱症状

パキシルは、効果が強く、副作用も比較的少ないのですが、減薬したり、服薬を中止するときに以下のような離脱症状が起こりやすいというデメリットがあります。

イライラ、ソワソワ、無気力、頭痛、肩こり、不眠、筋肉の痙攣、不安、焦燥、興奮、めまい、しびれ、ふらつき、ふるえ、発汗、動悸、耳鳴り、吐き気など

 

抗うつ薬の中でも、パキシルは最も離脱症状が起こりやすいと言われています。

 

また、離脱症状は、次の条件に当てはまる数が多いほど起こりやすいです。

  • 半減期が短い
  • 薬の効果が強い
  • 服用量が多い
  • 服用期間が長い
    etc

パキシルは、薬の効果が強く、半減期も13時間前後と短いため、離脱症状が起こりやすいのです。

 

なお、離脱症状が現れた場合は、次のような対処法があります。

  • 減薬中なら様子を見る
  • 減量ペースを落とす
  • 減薬を延期する
  • 離脱症状が起こりにくい薬に切り替える

※いずれの方法も自己判断で行ってはいけません。

必ず処方医に相談してください。

パキシルで太る理由

うつ病の薬は太りやすいと言われており、パキシルも例外ではありません。

パキシルで肥満や体重増加が起こるのは、次の2つの理由が考えられます。

  • 抗ヒスタミン作用
  • 代謝抑制作用

 

なお、パキシル服薬による肥満や体重増加を予防するには、以下の方法が効果的です。

 

  1. 毎日体重を測る
  2. 間食、炭水化物の摂り過ぎに注意
  3. 生活習慣を見直す
  4. 運動や筋トレの習慣を取り入れる
  5. 薬の量を減らす(医師に相談)
  6. 別の抗うつ薬に変える(医師に相談)

 

パキシル服用中は、体重の変化に注意し、栄養の偏りや生活習慣の乱れに気をつけましょう。

 

パキシルの薬価

パキシルの薬価は以下の通りです。

<パキシル>

5mg 1錠 52.6円

10mg 1錠 92.3円

20mg 1錠 160.7円

 

なお、パキシルには、パロキセチンというジェネリック医薬品があります。

こちらは、複数の製薬メーカーが同じ名前の商品を販売しており、薬価は以下の通りです。

<パロキセチン>

5mg 1錠 13.5~26.5円

10mg 1錠 37.9~50.1円

20mg 1錠 45.9~85.6円

 

まとめ

パキシルは、効果の強い抗うつ薬であり、うつ病、うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害など幅広い不安障害の治療に用いられます。

他の抗うつ薬と比べて副作用は少ないのですが、嘔気や傾眠などの発現率は高いので注意が必要です。

また、服薬を中止する際に離脱症状が現れやすいので、指示された用法、用量を厳守しましょう。

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